ロシア最高検察庁が、国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長ら9人の身柄を引き渡すよう、ICCの本部があるオランダなど複数の国に要請したことが報じられています。
この動きは、ロシアと国際的な司法機関であるICCとの間に深刻な対立があることを背景としています。何が起きているのか、その経緯と構造について解説します。
今回の身柄引き渡し要請の中身
ロシア最高検察庁は10月8日、赤根智子所長ら9人の身柄引き渡しをオランダ政府や複数の国に要請したと発表しました。
ロシア側は、赤根所長らについて「ロシアがICCの締約国ではないにもかかわらずロシア国民の刑事責任を追及し、違法な逮捕状を発行するよう指示した」と主張しています。
実は、今回の要請に先立ち、ロシアの裁判所は昨年12月に赤根所長ら9人がロシア国民の不当な訴追に関与したとして、欠席裁判で懲役15年から3年半の有罪判決を言い渡していました。今回の身柄引き渡し要請は、この有罪判決を受けた手続きといえます。
対立の背景にある「プーチン大統領への逮捕状」
ロシアがICCや赤根所長に対して強い反発を示している最大の理由は、ICCがロシアの最高権力者であるウラジーミル・プーチン大統領に逮捕状を出したことにあります。
ICCは2023年、ウクライナの子どもをロシア側に不法に移送したとして、プーチン大統領に逮捕状を出しました。ICCは、ジェノサイド(集団殺害)などの国際犯罪を裁く常設の裁判所ですが、ロシアはこのICCの締約国(条約に加入している国)ではありません。
ロシア側からすれば、自国が加入していない裁判所に自国民の刑事責任を追及されることは、法的な根拠がない違法な行為であるという立場です。今回の赤根所長らへの判決や引き渡し要請は、プーチン大統領への逮捕状というICCの動きに対抗する形で行われたものとみられます。
今後の見通しと国際社会の反応
ロシアが身柄の引き渡しを要請したものの、実際にオランダなどがこれに応じる可能性は低いと報じられています。
オランダのイェッテン首相は9月の国連総会での演説において、「ICCや国際法秩序を守るあらゆる機関に手を出すな」と訴えていました。ICCの本拠地であるオランダが、ロシア側の主張を受け入れて所長の身柄を引き渡すことは、国際法秩序の維持という観点からも考えにくい状況にあります。
また、日本にとってもこの問題は関心事となっています。赤根智子所長は日本人であり、日本の外交上の対応も注目されます。この状況を受け、高市首相は日米外相レベルで意思疎通を図る方針であることが伝えられています。
国際的な司法権限を主張するICCと、それを認めず自国の主権を主張して対抗するロシア。赤根所長への要請は、単なる個人の訴追ではなく、現代の国際秩序と法の支配をめぐる激しい衝突の一端を象徴しているといえます。
出典 日テレNEWS 新潟日報 南日本新聞 赤根智子所長らの引き渡しを要請 ロシア最高検、オランダなどに – トピックス|Infoseekニュース
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