台風25号の影響により、千葉県内で盛り土が崩落し、住宅地の冠水や道路の遮断など被害が広がっています。特に問題視されているのが、無許可で造成された盛り土や、過去の点検で不備が指摘されながら放置されていた盛り土が崩落した点です。
複数の報道によると、千葉県内では少なくとも4箇所で盛り土の崩落が発生しています。これにより、土砂が市道や水田に流れ込んだほか、民家の1階部分に土砂が流入し、住人が2階へ避難する事態も起きています。
深刻な被害が続く酒々井町の現状
千葉県酒々井町の「開運団地」では、盛り土の崩落が原因で深刻な冠水被害が続いています。入り口の道路が約120メートルにわたって冠水し、住民が孤立状態にあると報じられています。
低地にある団地には今も水が流れ込んでおり、場所によっては水深が1メートル以上に達している状況です。町はポンプ車7台を投入して排水作業にあたっていますが、冠水が解消しない限り、崩落地点に重機を入れることができず、土砂の撤去が進まないという悪循環に陥っています。
避難所の町公民館で生活する鈴木秀俊さん(63)は「水が引いてくれないと何も始まらない」と困惑しており、別の70歳代の女性は「被害が起こる前に何とかしてほしかった」と心境を明かしています。また、酒々井町では崩落した箇所が大きなところで2箇所あり、自動車2台が落ちていることも確認されています。
無許可造成と行政の限界
今回の被害の背景には、法の規制を潜り抜けた、あるいは無視して行われた盛り土の存在があります。
千葉県内は、盛土規制法に基づき2025年から全域が規制区域となっており、造成には行政の許可が必要です。しかし、袖ケ浦市大竹では規制開始以降に無許可で盛り土が造成されており、それが崩落して市道や水田に土砂が流れ込みました。
県や袖ケ浦市は昨年7月以降、業者に対して盛り土の撤去を求める指導を複数回行っていたものの、業者は対応しなかったとされています。この状況について、市廃棄物対策課の担当者は「相手が従わなければどうすることもできない」と語っており、行政指導の限界が浮き彫りになっています。
指摘されながら放置された「盛り土総点検」の不備
また、法規制の前に造成された盛り土についても課題が見つかっています。袖ケ浦市川原井の盛り土は、2021年の熱海土石流災害を受けて全国で実施された「盛り土総点検」において、「災害防止措置が未実施」であると指摘されていました。
しかし、その後も土砂の撤去は行われませんでした。その結果、今回の台風で崩落した土砂が近くの民家に流入し、住民が避難するという事態を招いたと報じられています。点検によってリスクが明確になっていたにもかかわらず、実効性のある対策が講じられていなかったことが被害を拡大させた要因のひとつと考えられます。
一方、酒々井町では今年2月に一部の盛り土を撤去する行政代執行に着手しており、今回崩落した盛り土についても行政代執行を検討していたとされています。
支援策と今後の不安
国は被災した自治体を支援するため、総務省が29日に、被害を受けた千葉県内42市町村に対し、11月分の普通交付税の一部である142億5500万円を繰り上げて交付することを発表しました。また、JR各線の運休が続いていることから、東京都が都営バス10台と運転手を派遣し、代行輸送に活用するなどの支援も行われています。
しかし、現場では復旧の目処が立たないままでの不安が広がっています。酒々井町では、台風25号の被害が解消されないまま、追い打ちをかけるような雨が降り、さらに台風26号が接近していることから、住民の間で不安が募っている状況です。
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