高市早苗首相は2026年10月5日、召集された第222臨時国会において、衆参両院で所信表明演説を行いました。演説の中で高市首相は、物価高対策として食料品の消費税減税や所得連動型の給付金を導入し、「家計に少しでも『ゆとり』を生み出したい」と訴え、その実現に向けた理解を求めました。
今回の演説では、経済・財政政策が全体の6割ほどの分量を占めており、経済の力で国民の暮らしを守る姿勢を強調しています。
「責任ある積極財政」と成長の好循環
高市首相は、高市内閣の最優先課題として、「経済」の力で国民の暮らしを守り、「希望ある未来」を切り拓くことを掲げています。その中核となる考え方が「責任ある積極財政」です。
これまでの日本経済について、高市首相は「働いても、なかなか賃金が上がらない時代」を経験してきたと振り返っています。また、将来への不安から企業や家計が投資や消費を控える「守りの姿勢」が蔓延していたと指摘しました。
こうした状況に対し、高市首相は以下のような「成長の好循環」の実現を目指しています。
- 責任ある積極財政による国内投資の喚起
- 潜在成長率の引き上げと良質な雇用・所得の増加
- 消費マインドの改善と事業収益の向上
- 税収の自然増へとつながるGDP拡大
高市首相は、「給料が上がるから消費しよう」「業績が上がるから投資しよう」「新しいことに挑戦しよう」という流れを作ることで、国民の不安を希望に変えたいと考えています。
消費税減税の具体策と財源の考え方
特に注目を集めたのが、消費税減税への言及です。高市首相は、2027年4月から2年間限定で飲食料品の消費税を1%にする法案について触れ、「消費税減税は野党のこれまでの主張にも多く見られた」と述べ、野党の賛同に期待を示しました。
気になる財源については、「市場の信認を得られるよう、特例公債(赤字国債)に頼らず確保する」とし、「心配には及ばない」と主張しています。ただし、具体的な財源確保の策については、今回の演説では詳しく触れられませんでした。
また、財政運営においては、国と地方の債務残高をGDP比で安定的に引き下げる目標を掲げています。経済状況や金利、利払い費などを総合的に検証しながら、通年の国債発行額を適切にコントロールしていく方針です。
国家戦略と国際秩序への対応
経済政策以外にも、幅広い分野での戦略が示されました。
国内投資と成長戦略
年内に今後5年間の国内投資の道筋を示す「日本成長戦略実行計画」を策定する方針です。AI(人工知能)や半導体、量子技術、コンテンツ、核融合などの戦略17分野・62製品を対象とした「危機管理・成長投資」を推進し、日本の国際競争力を高めるとしています。あわせて、内閣官房に設置した「日本版DOGE」による租税特別措置や補助金の重点化・適正化も進める考えです。
外交と安全保障
国際情勢については、世界が国際秩序の変容のまっただ中にあると指摘しました。特にトランプ米政権が圧力を強める国際刑事裁判所(ICC)について、日本は一貫して支持してきた立場から、「法の支配に基づく国際秩序を維持・強化する」と述べています。
また、沖縄で発生した米兵による強盗殺人事件については、「このような凶悪事件の発生は極めて遺憾だ」と強調し、捜査への全面的な協力と再発防止を強く求めました。
今後の展望
高市首相は演説の中で、「決断、挑戦、実行。」という言葉を連呼し、強い実行力をアピールしました。また、憲法について「憲法は国の根幹、だからこそ更新すべき」として、早期の改憲議論を促しています。
今後は、10月7日から9日に予定されている代表質問や、13日から始まる衆院予算委員会での質疑を通じて、消費税減税の具体的な財源や、提示された成長戦略の実効性について、与野党の間で激しい論戦が繰り広げられる見通しです。
出典 朝日新聞 日本経済新聞 東京新聞 高市首相「家計に少しでもゆとりを」消費税減税に理解求める…臨時国会で所信表明演説、「経済最優先」強調(読売新聞オンライン) 高市首相が所信表明演説 消費税減税「赤字国債頼らず」
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