福井県越前町のふるさと納税返礼品において、「越前がに」と表示されていた商品に規定以上の別のカニが混入していたことが明らかになりました。農林水産省は2026年9月24日、地理的表示(GI)法違反として、越前町に対して不正な表示の取り消しや再発防止策の構築を求める措置命令を出しました。
本件は、地域のブランド価値を保護する制度への認識不足と、自治体内部の報告体制の問題が浮き彫りとなった事例といえます。
何が起きたのか
農林水産省の調べによると、越前町はふるさと納税のポータルサイトにおいて、少なくとも2020年9月から2026年4月までの間、原材料の半分以上に「水がに(福井県産ずわいがに)」を使用していたにもかかわらず、「越前がに」と表示して返礼品を掲載していました。
具体的に問題となったのは、「ボイル越前カニずわい蟹(がに)のむき身」と「ずわいがに甲羅盛り」の2商品です。これらの商品の申し込み件数は4716件にのぼり、寄付額の合計は約1億6000万円(詳細には1億665万9500円)に達したと報じられています。
また、水ガニの混入以外にも、実際にはミズガニやベニズワイガニの商品であるにもかかわらず、「越前がに」と誤認させるような表示を行っていた事業者がいることも判明しました。町がカニを返礼品で扱っていた事業者は18あり、そのうち11事業者が不正表記と見なされた商品を取り扱っていたとされています。
地域ブランドを守る「GI保護制度」とは
今回の措置命令の根拠となった「地理的表示(GI)保護制度」とは、その地域特有の環境で育まれた品質や社会的評価を持つ産品の名称を、知的財産として保護する仕組みです。この制度に登録されると、その名称の使用を独占でき、不正な使用に対しては農林水産省が取り締まりを行います。
「越前がに」や「越前かに」については、生産地として「福井県」、登録生産団体として「福井県漁業協同組合連合会」が登録されています。越前海岸沖の急深な地形により、沿岸の近くに好漁場が形成されるという特性があり、福井県を代表する水産物として高い知名度を持っています。
GI法に基づくガイドラインでは、越前がにをうたう商品であっても、水ガニの割合が半分に満たなければ問題はないとされています。しかし、今回のケースでは水ガニの割合が半分を超えていたため、不正使用と認定されました。
露呈した認識の甘さと報告体制の不備
今回の問題で特に注目されたのが、越前町内部での対応の遅れです。日テレNEWSの報道によれば、町の担当者は昨年の10月中旬にミズガニの混入を把握していましたが、町長への報告があったのは半年後の今年4月だったことが分かりました。
報告が遅れた理由について、担当者が「GI制度が認める『越前がに』にミズガニも含まれる」と誤って認識していたためだったとされています。また、越前町は「2025年10月に返礼品に水がにが使用されていた可能性を事業者から聞いていたが、GI法に関する理解が十分でなく、表示に問題あるとの認識に至りませんでした」とコメントしています。
これに対し、髙田町長は記者会見で「報告の体制の問題であると認識している。町政を預かる立場として私自身責任を重く受け止めている」と述べ、「多大なご心配とご迷惑をおかけしたことを深くおわび申し上げます」と謝罪しました。
今後の影響と対策
農林水産省は越前町に対し、カニに関する加工品や包装、広告などの表示および登録標章の点検を行い、違反する返礼品の除去を求めました。併せて、町職員や事業者へのGI保護制度の啓発と、再発防止策の徹底を要請しています。
越前町は、10月1日からカニに関するすべての返礼品の取り扱いを中止することを決定しています。この措置により、町の税収はおよそ6億円減少する見通しであると報じられています。
農林水産省がGI制度に関して自治体に措置命令を出したのは初めてのこととされており、地域のブランド名称を適切に管理することの重要性が改めて問われる形となりました。
出典 NHK 福井新聞 日テレNEWS 中日新聞 フジテレビ ふるさと納税返礼品を「越前がに」と表示 原材料の半分以上は別のカニ 寄付額は1億円超 農水省が福井・越前町に措置命令(FNNプライムオンライン(フジテレビ系)) ふるさと納税ポータルサイトで不適正に「越前がに」と表示、越前町に措置命令…農水省 ふるさと納税返礼品を「越前がに」と表示 原材料の半分以上は別のカニ 寄付額は1億円超 農水省が福井・越前町に措置命令 (FNNプライムオンライン(フジテレビ系)) ふるさと納税返礼品を「越前がに」と表示 原材料の半分以上は別のカニ 寄付額は1億円超 農水省が福井・越前町に措置命令
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