イエメンの親イラン武装組織であるフーシ派が、紅海の出口に位置する戦略的要衝、バベルマンデブ海峡周辺の島や港湾都市を掌握したと報じられました。
米国や中東メディアなどの報道によると、フーシ派は10日ごろからの数日間で、海峡に近い港湾都市モカや海峡内の要衝の島などを制圧したとみられています。この電撃的な進攻を受け、イエメンの首都サヌアでは、11日にフーシ派による進攻を祝う集会が開かれたと伝えられています。
フーシ派のブハイティ幹部は12日、共同通信の取材に対し「バベルマンデブ海峡の支配権を拡大できた」と述べ、海峡を掌握しているとの認識を示しました。一方で、フーシ派の報道官は10日、X(旧Twitter)にて、紅海やバベルマンデブ海峡での船舶航行について「安全は維持されており、国際社会が懸念する必要はない」と投稿しています。
バベルマンデブ海峡の重要性と原油輸送への影響
バベルマンデブ海峡は、紅海の出口にあたる非常に狭い海峡であり、世界的な海運ルートの要衝として知られています。
今回、この地域が注目される背景には、中東全体の不安定な情勢があります。米国とイランの戦闘により、もう一つの重要航路であるホルムズ海峡が封鎖状態にある中、バベルマンデブ海峡は原油輸送の代替ルートとして重要性が高まっていました。また、サウジアラビアがホルムズ海峡の代替路として利用していたルートにおいても、複数回の攻撃を受けてパイプラインが停止するなどの状況が報じられています。
このような状況下でフーシ派が海峡周辺を掌握したことは、世界的なエネルギー供給に影響を及ぼす懸念を呼んでいます。実際に、イエメン沖での航行が困難になったことで、日本への原油調達についても影響が出るとみられています。赤沢氏は、9月の原油調達について8割の見通しであるとしつつも、「日本全体として必要となる量の確保はできている」と述べています。
イランの関与と国際政治の構図
今回のフーシ派による行動の背後には、イランの強い影響があると考えられています。
ロイターの報道によれば、イランの精鋭軍事組織である「革命防衛隊」の司令官らがイエメン入りし、フーシ派の紅海沿岸での作戦などを指揮しているとされています。イラン当局者は、港湾都市モカの制圧について「フーシ派の決定だ」と述べ、直接的な関与については否定しています。しかし、その一方で、今回の事態が「油価を押し上げ、米国への打撃となった」と評価していると報じられています。
国際的な視点で見ると、イランはホルムズ海峡とバベルマンデブ海峡という、世界のエネルギー輸送における2つの重要な「首根ず」に影響力を持つことになります。これは、米国に対する強力な外交・軍事的なカードになる可能性があり、今後の情勢は極めて不透明な状況にあります。
このように、イエメン国内の武装組織による局所的な制圧に見える出来事は、実際にはイランの戦略的な意図が含まれている可能性があり、世界経済、特に原油価格や輸送ルートの安定性に直結する問題として注視されています。
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