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改正個人情報保護法で要配慮情報の同意なし取得・提供が可能に

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2026年7月に改正個人情報保護法が成立し、同月17日に公布されました。この改正により、AIモデルの作成や統計情報の作成を目的とする場合に限り、本人の同意を得ることなく個人データの外部提供が可能となる「統計特例」が新設されたことが注目を集めています。

特に、病歴や犯罪歴などプライバシー性が極めて高い「要配慮個人情報」までもが、本人の同意なく提供される対象に含まれる点について、多くの懸念の声が上がっています。

目次

AI開発を後押しする「統計特例」の狙い

現行の法律では、企業や病院が個人データを外部に提供する場合、原則として本人の同意が必要です。しかし、デジタル社会への対応やAI開発の加速において、個別に同意を得る手続きが実務上の大きな負担となっていました。

政府は今回の特例について、米国や中国に遅れを取っている国内のAI開発を後押しする狙いがあると説明しています。企業にとっては大量の個人データを収集しやすくなるというメリットがあり、データ利用をよりダイナミックに変えていくための基盤整備と位置づけられています。

指摘されるリスクとプライバシーへの懸念

一方で、この特例の運用をめぐっては、個人の権利保護の観点から強い懸念が示されています。

匿名化の義務とデータ流出のリスク

外部提供の際、提供元に氏名の匿名化を義務付ける規定がない点が指摘されています。また、一定の条件を満たせば海外企業や個人事業主にもデータ提供が可能となるため、データ流出や悪用への対策が不十分だという見方があります。

AIに学習させたデータがハッキングなどで漏洩した場合や、実名情報が漏れた状態で特殊詐欺の名簿などに悪用される可能性も不安材料として挙げられています。また、松本尚デジタル大臣は、医療機関の画像データなどに含まれる本名などの情報を一つひとつ削除する作業は大変であり、氏名を匿名や仮名とすることは難しいとの認識を示しています。

患者の権利と医療現場への影響

医療分野では、患者の不信感や受診控えにつながるリスクが危惧されています。神奈川県内の30代女性は、オンライン署名を通じて「患者さんの納得が得られないと、受診控えや医療機関への不信につながってしまう」と危機感を語っています。

この署名では、患者への「事前通知」と、情報の活用を拒める「拒否権(オプトアウト制度)」の確保、およびデータの「匿名化・仮名化」を求めています。京都大学医学部付属病院の黒田知宏教授(医療情報学)は、この特例について「最悪の選択肢だ」と訴えており、現在の仕組みでも十分にデータ利活用は可能であると指摘しています。

「取得」への罰則新設と報道の萎縮

今回の改正では、データ活用の円滑化だけでなく、悪質な違反に対する取り締まりも強化されています。

具体的には、改正法の180条において、損害を加える目的で人を欺いて個人情報を取得した行為などに対し、2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金を科す規定が新たに設けられました。これまで罰則があったのは「提供」や「盗用」でしたが、新たに「取得」が加わった形です。

これについて、第二東京弁護士会の板倉陽一郎弁護士は、「『個人情報』の範囲は極めて広く、ほぼすべての情報があたります。恣意(しい)的に使われたら危ない」と指摘しています。また、刑事罰は最終手段であるべきとし、「強制捜査の歯止めになるのか。報道のあり方も多様化しており、萎縮効果は避けられないのでは」と危惧しています。

個人情報保護委員会の担当者は、「正当な目的の案件ははじかれる書き方になっており、正当な取材は対象にならない」と話していますが、何をもって「正当」とするかの判断は捜査機関に委ねられることになります。

今後の見通し

改正法は公布後2年以内に施行される予定です。統計特例の具体的な運用については、今後策定される規則やガイドラインに委ねられています。

AI開発や統計作成という公的なメリットと、個人のプライバシー保護という権利のバランスをどう確保するのか、運用の詳細に注目が集まります。

出典 毎日新聞 東京新聞 令和8年改正個人情報保護法ー新ルールを落合孝文弁護士に訊く AI開発のためには本人の許可なく情報提供が可能に…新たに成立した改正個人情報保護法に対する有識者の見解は?(TOKYO MX) 改正個人情報保護法が成立、病歴など要配慮個人情報も同意なく提供可能に-AI開発を後押しの一方で懸念の声|セキュリティとAIのニュース-セキュリティ対策Lab

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