1992年に福岡県飯塚市で発生した、小学1年生の女の子2人が殺害された「飯塚事件」を巡り、2008年に死刑が執行された久間三千年元死刑囚の弁護団が、3回目となる再審請求(裁判のやり直し)を行う方針であることが報じられました。
今回の請求の根拠となるのは、警察によるDNA型鑑定を改めて検証した結果、犯人と元死刑囚のDNA型が一致していないことを示す「新証拠」が見つかったという点です。
飯塚事件の経緯と死刑執行
飯塚事件は1992年2月、福岡県飯塚市で幼い女の子2人が誘拐、殺害された事件です。久間三千年さんとされた人物が逮捕され、死刑判決が確定しました。
当時の裁判では、被害者の遺体などから見つかった犯人の血液のDNA型が、久間さんのものと一致したとする鑑定結果などが有罪の根拠となりました。しかし、久間さんは一貫して無実を訴えており、久間さんと犯人を直接的に結びつける証拠はないとされていました。
久間さんは「やっていないものをやったと思われたことだけは、これは白黒必ずつける。」と述べていたと伝えられていますが、死刑判決からわずか2年後の2008年に、70歳で刑が執行されました。
争点となる「DNA型鑑定」と不正の疑い
死刑判決を導いた重要な証拠の一つが、警察庁の科学警察研究所(科警研)が行ったDNA型鑑定でした。当時の鑑定手法は、DNAを注入したゲルに電気を流し、個人によって異なる進む距離(DNAバンド)の位置で一致・不一致を判定するものでした。
特に注目されるのが、犯人と捜査対象者のDNAを同時に調べる「同時泳動」という手法です。この手法を用いることで鑑定の正確さが担保されます。
しかし、今回の再審請求にあたり、弁護団は以下のような点から鑑定に不正があった疑いを主張しています。
- 不自然な痕跡の発見: 久間さんの鑑定に使用されたネガフィルムに、切り取られたような跡と、その縁に「影のようなもの」があることに気づいたと報じられています。
- 専門家による検証: 法医学の専門家がこの「影のようなもの」と現場の試料を検証したところ、犯人のDNA型が含まれるバンドと形や濃さがぴったり合ったとされています。
- 同時泳動の痕跡: これは、実際には「同時泳動」が行われていたことを意味します。しかし、同時泳動を行った場合、犯人のDNAバンドと久間さんのバンドの位置はずれており、これはDNA型が一致していないことを示しています。
さらに、科警研の技官は過去の裁判において、宣誓した上で「同時泳動していません」とはっきり証言していたと伝えられています。弁護団側は、望む結果(一致)にならなかったため、意図的に一部を切り取って鑑定書を作成した疑いがあると考えています。
これまでの再審請求と今後の見通し
もともと、本事件のDNA鑑定は、後にDNA型の不一致で再審無罪が確定した「足利事件」と同じ手法で実施されていました。
第1次再審請求では、福岡地裁が「元死刑囚とは異なるDNA型が発見された」とする新証拠について、鑑定の精度の点から「ただちに有罪の根拠とはできない」として証拠能力を事実上否定しました。一方で、他の複数の証拠から犯人性は高度に立証されているとして、請求を退けています。
第2次再審請求では、女児の目撃証言が新証拠として提出されましたが、地裁および福岡高裁がこれを認めませんでした。現在、弁護団はこの決定を不服として最高裁に特別抗告を行っています。
審理中の請求がある中で、さらに新たな再審請求を申し立てることは異例であると報じられています。弁護団の徳田靖之弁護士は「極めて重大な事実が明らかになったので、再審請求する必要がある」とコメントしており、また岩田務弁護士は「必ず再審決定を勝ち取る」としています。
死刑執行後も、遺族は「夫の命、奪わないでほしかった」と無実を信じ、裁判のやり直しを求め続けています。
出典 東奥日報 NHK 日テレNEWS 毎日新聞 日本経済新聞 TBS NEWS DIG 北海道新聞 飯塚事件 3回目の再審請求へ 飯塚事件 弁護団「DNA型鑑定検証で新証拠」 3回目の再審請求へ|KBCニュース
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