ウクライナのゼレンスキー大統領が、衛星通信サービス「スターリンク」の通信速度が制限されたことについて、米政府の対応を強く批判しています。今回の制限は、ウクライナ軍のドローンを用いた作戦に深刻な影響を及ぼしていると報じられています。
通信制限によるドローンの運用への影響
ウクライナのセルヒー・ベスクレストノフ大統領顧問は、アメリカの宇宙開発企業であるスペースXが提供する「スターリンク」の通信速度が、事前の通知なく制限されたことをSNSで明らかにしました。
この制限は、スペースXの軍事向けサービスである「スターシールド」に接続された端末に対して行われたとみられています。報道によれば、通信制限の影響でドローンの速度が時速250キロから160キロへと低下したとされており、これにより攻撃用ドローンが迎撃される可能性が高まるほか、迎撃側のドローンも本来の性能を発揮できなくなる恐れがあると指摘されています。
ベスクレストノフ氏は、今回の措置について「明らかに偶然ではなく、現在の政治情勢と関連している」と述べ、政治的な意図があるとの見方を示しています。また、「我が国の国防軍はこの制限について何の警告も受けておらず、そのため複数の任務に支障が生じている」とも記しています。
ゼレンスキー氏による米政府への批判
ゼレンスキー大統領は、イギリスのテレビ番組において、イーロン・マスク氏が率いるスペースXの動きについて言及し、スターリンクが利用できなければ、人々が命を落とすことになると述べ、強い不満をあらわにしました。
また、トランプ前大統領(※報道に基づく)のロシアに近い姿勢についても批判を展開しています。司会者からトランプ氏に裏切られたと感じているかと問われると、「本当にそうだ」と答え、我々にとってはビジネスではなく、命や国、家、子どもたちの問題であると訴えました。さらに、「トランプ氏が“あちら側”を選んだのはつらい」として、トランプ氏の姿勢を批判しています。
背景にある米国の政治情勢と圧力
今回の通信制限の背景には、米国の政治的な思惑が絡んでいる可能性が指摘されています。
トランプ氏は、11月の米中間選挙を見据え、ディーゼル燃料(軽油)の価格高騰を抑える目的から、ウクライナによる攻撃の停止を求めていると報じられています。ゼレンスキー氏によると、米側は軍事情報の提供を停止する可能性についても言及し、ウクライナに対して圧力をかけている状況です。
フィナンシャル・タイムズ紙は、ワシントンがウクライナに対し、ロシアの石油施設への攻撃を続けるのであれば、ミサイル警告などに使用される情報共有を制限すると脅迫したと報じています。これに対し、トランプ氏はこうした脅しを否定しているとされています。
スペースX側の主張と今後の課題
通信制限の責任について、スペースXのCEOであるイーロン・マスク氏は、自身の投稿を通じて否定的な見解を示しています。マスク氏は、スターシールド・システムは米国政府が所有・管理しており、速度や利用に関する制限は、米軍、そして最終的には米国大統領によって決定されると主張しました。
また、商用のスターリンク・サービスについては、民間または防衛活動を目的としており、攻撃的な軍事行動には使用できないため、商用企業としてそのような使用は不適切であると付け加えています。
ウクライナ側は、スペースXや米国政府、NATOのパートナーに対して説明を求めていますが、米国防総省はスターシールドの制限について公にコメントしていません。
ウクライナにとっては、通信の完全な復旧が急務となっています。しかし、欧州連合(EU)が計画している「IRIS²」などの衛星ネットワークが運用可能になるまでには数年を要するとされており、短期間で代わりとなる選択肢を見つけることは容易ではない状況です。
出典 ドローン速度250→160キロ…ゼレンスキー氏、スターリンク制限で米批判「非理性的」 – 産経ニュース ゼレンスキー氏、米にスターリンク復旧要求 「多くの命犠牲に」 | 毎日新聞 “スターリンクの通信速度を制限された”とウクライナ大統領顧問 軍の複数作戦を中断 ゼレンスキー氏「人々が命落とすことになる」|FNNプライムオンライン SpaceXがウクライナの無人航空機によるスターリンク衛星へのアクセスを制限。ゼレンスキー大統領は「裏切られた」と感じていると述べた。 【ウクライナ情勢】スターシールドの速度制限でドローン運用に支障、イーロン・マスク氏は米政府の関与を示唆 — BigGo ファイナンス
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