パキスタン北西部のカイバル・パクトゥンクワ州において、州首相らが拘束されたと報じられています。同州では非常事態宣言が発令されており、インターネットの遮断や道路封鎖などの厳しい制限が敷かれている状況です。
何が起きているのか、そしてこの事態の背景にある政治的な対立について、複数の報道に基づき整理します。
州首相らの拘束と現地の状況
地元メディアなどの報道によると、カイバル・パクトゥンクワ州のアフリディ州首相らが拘束されました。拘束が行われたのは11日、同州の州都ペシャワルにある州首相公邸であったと伝えられています。
チョードリー内務担当国務相はロイターに対し、「州首相と一部の州閣僚が予防拘禁されたことを確認できる」と述べています。また、訴追すべき案件がある者は起訴して裁判にかけ、それ以外の者は釈放すると説明しました。
拘束に伴い、現地の治安体制は極めて厳格な状態にあります。州首相公邸や周辺の重要施設には多数の警察官や準軍事組織の部隊が配置され、輸送用コンテナなどで封鎖されていると報じられています。さらに地元記者によれば、インターネットの遮断や政府機関への道路封鎖、住民の外出制限も行われており、陸軍部隊の配備によって警戒が高まっている状況です。
背景にある野党PTIと連邦政府の対立
今回拘束されたアフリディ州首相らが所属しているのは、野党のパキスタン正義運動(PTI)という政党です。PTIは、連邦政府のシャリフ政権と激しく対立しています。
対立の大きな焦点となっているのが、PTIの創設者であり、現在は収監中のイムラン・カーン元首相の扱いです。PTIはカーン氏の釈放と治療を強く求めており、支持者らはイスラマバードへ行進する計画を立てていました。実際に、拘束の約1週間前には、同州でPTI支持者による集会が数日間にわたって開かれていました。
政府側とPTIは、9月にデモ行進が呼びかけられて以降、数回にわたって協議を重ねてきたとされています。しかし、この協議は最終的に決裂しました。
協議が決裂した理由
協議が決裂した要因について、チョードリー内務担当国務相は、政府側はデモ行進の容認を含め、PTIの要求をすべて受け入れる用意があったと説明しています。
その上で、政府側が求めた唯一の条件について、「われわれが求めたのはただ一つ、党が武装勢力を公に非難し、武装勢力との戦いでわれわれと手を携えることだった」と述べています。PTI側がこの条件に同意しなかったため、協議が決裂したという経緯が伝えられています。
今後の懸念と影響
PTIの報道官はX(旧ツイッター)において、党関係者の拘束を政治的迫害であると非難しています。「民主主義の原則を損なう」として、同党を標的にする措置をやめるよう訴えています。
非常事態宣言の発令と州政府の事実上の停止、そして州首相らの拘束という強硬な措置に対し、PTIの支持者らは強く反発しています。政党間の争いがさらに激化し、情勢が不安定化することが懸念される状況です。
パキスタンは、連邦政府と州政府、そして強力な支持基盤を持つ野党との間で深刻な権力闘争が続いており、今回の事態はその対立が表面化した形といえます。
出典 産経新聞 福井新聞 中日新聞 中国新聞 南日本新聞 パキスタン、カーン元首相派の州首相ら拘束 非常事態宣言 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト パキスタン、カーン元首相派の州首相ら拘束 非常事態宣言(ロイター)|dメニューニュース(NTTドコモ)
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