東京都心と伊豆諸島を結ぶ定期旅客船を運航する東海汽船に対し、国土交通省の関東運輸局が大型船を含む計3隻の使用停止命令を出す方針を固めたことが報じられています。この処分は、乗組員による酒気帯び状態での勤務など、複数の法令違反が確認されたことを受けたものです。
どのような処分が出るのか
報道によると、関東運輸局は10月2日にも、海上運送法に基づき、大型客船「橘丸」など大型船とジェットフォイルの計3隻に使用停止命令を出す方針だということです。
停止期間は10月9日から28日までの20日間で調整されているとみられています。この期間中、東海汽船は他社による代替輸送を利用して航路を維持する見通しです。
もともと関東運輸局は、事業停止命令などのより重い処分案を同社に通知していました。しかし、離島航路の事業者については、改善計画が提出され実効性があると判断された場合、処分を事業停止から「船の使用停止」に軽減できる仕組みがあります。今回の決定は、島民の生活への影響などが考慮された結果と報じられています。
発覚した法令違反の内容
今回の処分に至った背景には、今年に入って行われた関東運輸局の臨時監査によって明らかになった、安全ルールからの著しい逸脱があります。認定された法令違反は計13件にのぼります。
特に深刻な事例として、以下のような内容が挙げられています。
飲酒勤務と隠蔽工作
今年1月1日の昼ごろ、大型客船2隻において、船長を含む船員らが航行中に新年会を開いていたことが判明しました。中には、飲酒直後にアルコール検査を行わないまま勤務に就いた船員もいたとされています。また、車の酒気帯び運転の基準となる呼気1リットル中0.15ミリグラムを大幅に超えるアルコール濃度の船員が、船長を含め複数いたと認定されました。
さらに4月25日には、ジェット船において、アルコール検査で規定以上の飲酒が発覚するのを避けるため、別の船員が代わりに検査を受け、虚偽の記録を記載したとされる事例も起きています。
安全管理の不備
飲酒問題以外にも、昨年11月から12月にかけて、大型客船の乗船口を開けたまま航行し、乗客が落水するおそれがあった事例が報告されています。また、出入り口の閉鎖を確認する船内の巡視手順が形骸化していたことも指摘されています。
組織的な背景とこれまでの経緯
今回の問題について、元日に飲酒する慣例があったことは、東海汽船の山崎潤一社長も把握していたと報じられています。
関東運輸局は、今回の使用停止命令に先立ち、8月28日に安全統括管理者や運航管理者の解任を命じるなどの行政処分を既に出していました。その際、国交省側は文書で「繰り返し指導してきたが、安全管理体制が一向に改善されず、有効策も打っていない」と厳しい指摘をしています。
東海汽船側は、こうした一連の問題について「責任を重く受け止めている。事実確認と原因の究明を図り、再発防止のため外部の調査委員会を速やかに設置する方針」としており、国交省の聴聞に誠実に対応する意向を示していました。
離島の住民にとって、定期船は貨物運送や通院など、生活を支える不可欠なインフラです。そのため、厳しい処分が必要である一方で、島民の生活に死活的な影響が出ないよう、事業停止ではなく一部船舶の使用停止という形での調整が行われたものと考えられます。
出典 朝日新聞 テレビ朝日 東京新聞 TBS NEWS DIG 東海汽船に3隻の使用停止処分へ 東海汽船が“飲酒”など複数の法令違反疑い 事業停止の可能性も 国交省「聴聞」実施へ
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