MENU

コウノトリの国内野外生息数が700羽超に、2年後には1000羽超へ

  • URLをコピーしました!

日本の空に、かつて絶滅したコウノトリが戻ってきています。兵庫県立コウノトリの郷公園によると、繁殖が終わった先月末の時点で、兵庫県など14の府や県における野外生息数は合わせて728羽となりました。特に新潟県上越市では「5つ子」がそろって巣立つなど繁殖が順調に推移しており、2年後には全国で1000羽を超える見通しであると報じられています。

一度は国内で姿を消したコウノトリが、どのようにして復活を遂げたのか。その経緯と、鳥と人間が共存するための地域ぐるみの取り組みについて整理します。

目次

国内絶滅から復活への道のり

コウノトリはもともとロシアやシベリア周辺で繁殖する渡り鳥であり、越冬のために日本などに渡った個体がそのまま留まったことが日本のコウノトリの始まりだったとされています。江戸時代から明治初期にかけては日本中に生息していましたが、森林伐採や鉄砲による狩猟の解禁、そして農薬汚染などが原因で個体数が激減しました。

結果として、円山川の水辺環境が豊かだった兵庫県豊岡市が最期の生息地となりました。1955年には「こうの鳥保護協賛会」が設立され、保護と野生復帰への取り組みが始まりましたが、道のりは険しいものでした。1965年から人工飼育が開始されましたが、卵の中に農薬由来の水銀が残るなどの影響で、20年間で55個の卵が産まれたものの1羽も孵化しませんでした。そして1971年、市内で生息していた最後の一羽が死亡し、野生下での絶滅を迎えました。その後、1986年には飼育個体も消滅し、完全な絶滅の危機に瀕しました。

転機となったのは1985年です。ロシアから6羽の若いコウノトリを譲り受けたことで、1989年には人工飼育による雛の誕生に初めて成功しました。ここから遺伝的多様性の確保や環境整備といった課題を克服し、2005年に個体数が100羽を超えたタイミングで、人工飼育個体を自然界に戻す「放鳥」が開始されました。

「共生社会」を実現するための地域づくり

単に鳥を放鳥するだけでは野生復帰は成り立ちません。コウノトリが生き抜くためには、餌となる魚やカエルなどが生息できる豊かな環境が必要です。

兵庫県豊岡市では、コウノトリをシンボルとした「コウノトリ育む農法」を推進しています。これは無農薬・減農薬の環境創造型農業であり、米の付加価値を高めることで環境保全と経済効果の両立を目指すものです。この農法による栽培面積は500ヘクタールを上回り、市内の水稲作付面積の2割近くに達しています。また、城崎町の「ハチゴロウの戸島湿地」のような人工湿地では、企業のCSR活動や社会貢献型ツアーを受け入れ、湿地保全に取り組んでいます。

日本コウノトリの会代表の佐竹節夫さんは、30年以上にわたり野生復帰に携わってきた経験から、「人が一度壊した環境を回復し、人と自然の共生社会をつくる」ことが目的であると語っています。また、人工巣塔の設置について「ただ、見守るだけでは共生に行き着かない。地元の農家や行政などと一緒に建てることで、地域として迎え入れる体制が作れる」として、地域一体となった受け入れ態勢の重要性を説いています。

同様の取り組みは他地域にも広がっています。徳島県では「とくしまコウノトリ基金」による活動が行われており、鳴門市島田島などで耕作放棄地を再生してビオトープを整備し、新たな生息地を創出しています。あわせて「コウノトリの酒 朝と夕」などの「コウノトリ応援商品」を展開し、地域経済の活性化も図っています。

増え続ける個体数と新たな課題

放鳥から20年が過ぎ、コウノトリが舞う光景は日常となりつつあります。しかし、個体数が増えたことで、人間社会との接触による新たな問題も浮上しています。

電柱や鉄塔への営巣による停電の可能性や、農業用の防獣ネットなどの人工物への接触が増加しています。実際に、兵庫県立コウノトリの郷公園が昨年4月から8月までの5か月間で救護・収容した個体は24羽に上ります。また、秋から冬にかけてコウノトリが集団で餌場に集まるケースもあり、今後の農業への影響も指摘されています。

佐竹さんは、数が増えれば人間との摩擦も増えるだろうとしつつも、「きれい事ではない共生社会の入り口にさしかかっている」と述べています。絶滅という絶望的な状況から、地域社会が自然環境を見直すきっかけを得て、再び空に鳥が戻ってきた今回の事例は、人間と自然のあり方を再考させる重要なプロセスであるといえそうです。

出典 日本経済新聞 読売新聞オンライン 1971年に国内で絶滅…コウノトリが全国で700羽超まで復活 繁殖も順調 新潟では「5つ子」が巣立ち 2年後には1000羽超の見通し(関西テレビ) 1971年に国内で絶滅…コウノトリが全国で700羽超まで復活 繁殖も順調 新潟では「5つ子」が巣立ち 2年後には1000羽超の見通し 放鳥から20年 コウノトリ復活の軌跡 豊岡から広がる生態系保全の希望 | ラジトピ ラジオ関西トピックス 「応援商品」による経済効果/学習や研究にも活用/徳島の取り組み㊦=連載⑥/NPO法人とくしまコウノトリ基金事務局長 柴折史昭さん|但馬新聞 【兵庫・豊岡】かつて“野生のコウノトリ”が生息した「日本唯一のまち」 絶滅~復活~繁栄の取り組み | ラジトピ ラジオ関西トピックス

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次