中国で10月1日、改正された「国防動員法」が施行されました。この法律は有事の際に民間資源を動員する手順などを定めたもので、今回の改正では特にAI(人工知能)や無人機(ドローン)といった民間の先端技術や人材を、軍事目的で迅速に転用しやすくすることが狙いにあるとみられています。
改正国防動員法で何が変わったのか
もともと中国では2010年に国防動員法が施行されていました。これまでの法律では、国家が国防動員を決定し、備蓄物資だけで需要を満たせない場合に、インフラ設備などの民間資源を「徴用」できると規定されていました。また、「いかなる組織や個人も徴用に応じる義務がある」と明記されていました。
今回の改正で注目されるのは、この資源の扱いに関する規定に「徴収」が加わった点です。さらに、動員の対象に「先端技術」が盛り込まれたことも大きな変更点といえます。
具体的に改正法では、当局が平時の段階から軍需関連のサプライチェーン(供給網)について実態調査を行い、その強靱性を高めるという規定が盛り込まれました。これにより、有事の際に民間の先端技術や人材をより効率的に軍事へ転用できる体制を整えようとする狙いがあると考えられています。
日系企業や外資系企業への影響
この法律の適用範囲について、日系企業を含む外資系企業も対象になるとみられています。有事の際に民間のインフラや技術が軍事目的で動員される仕組みとなっており、中国で活動する企業にとって政治的・経済的なリスクが増す可能性が指摘されています。
特に先端技術を持つ企業や、重要なインフラを運用する企業にとって、国家による資源の徴用や徴収の義務は、事業運営における大きな懸念事項になると報じられています。
中国側の主張と外部からの分析
今回の法改正について、中国側は正当性を主張しています。中国国防省の蒋斌(ショウ・ヒン)報道官は9月24日の記者会見で、「多くの国が制定している国防動員関連の法と本質的な違いはない。過度に解釈する必要はない」と訴えました。また、中国共産党系の国際紙「環球時報」は9月8日付の社説で、法改正は情勢の変化に合わせて着実に進められてきた既定の改革であると指摘し、「条文の中に特定の地域や国を指す記述は一切見当たらない」と主張しています。
一方で、外部の分析では、今回の改正は「台湾統一」を想定したものという見方があります。台湾メディアは、軍事的なリスクだけでなく、中国で活動する台湾企業の政治的・経済的なリスクが増すと報じています。
このように、中国政府は一般的な法整備であるとしていますが、タイミングや内容から、有事の際の総力戦準備を強化する動きであると分析する声が上がっています。
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