文部科学省は20日、東京大学に対して、次期学長の選考プロセスの検証を求める文書を出したと報じられています。2004年の国立大学法人化以降、文部科学省が国立大学の学長選考をめぐって経緯の検証を求める文書を出した例はなく、極めて異例の措置となります。
なぜ検証が求められたのか
今回の動きの背景には、東京大学による次期学長の選出プロセスをめぐって、学内外から詳しい説明を求める声が上がっていることがあります。
東京大学の学長選考では、あらかじめ教職員らによる意向投票が実施される仕組みとなっています。先に行われた上位候補者3人に対する2回目の投票では、工学部系の染谷隆夫副学長が1107票を獲得して過半数に達していました。一方で、2位だったのは藤垣裕子教授(553票)でした。
しかし、東大の学長選考・監察会議は、最終的に藤垣氏を次期学長に選出しました。大学創立以来、女性の総長(学長)は初めてとなります。この結果を受け、東大の教職員有志は13日、選考の理由や方法について詳細な説明を求める要望書を大学側に提出しています。
これに対し、大学側は意向投票の結果は「重要な判断材料の一つになった」と回答していましたが、十分な説明がなされていないとの指摘が出ています。
文部科学省の指摘と閣議後の発言
文部科学省が出した文書は、高等教育局長名で東京大学の監事と藤井輝夫学長宛てに出されました。文書の中では、学長選考において「客観的事実に基づき、慎重かつ必要な審議を尽くし、公正・公平に行われる必要がある」と指摘されています。
また、選考の過程において、非公開の情報や匿名情報などについて、本人への確認や法的・専門的な判断を示さずに考慮することは不適切であるとも指摘しました。
関芳弘文部科学相は、20日の閣議後記者会見において、「今なお明確な説明がなされていないとの声も多く遺憾だ」と述べました。さらに、大学側の回答についても、外形的な選考過程の説明にとどまっており、具体的な説明がないと指摘しています。関文科相は、候補者間をどのように比較検討したのか、判断の合理性について説明が必要であるとしています。
異例の事態が示すもの
今回の措置は、国立大学の自治と、国による監督のあり方をめぐる議論を呼び起こす可能性があります。
文部科学省は、学内外から説明を求める要望があるとして、「説明責任を果たすことが重要だ」としています。学内の投票結果という「意向」と、最終的な選考結果の間に乖離が生じたことに対し、その判断プロセスが透明で合理的なものであったかどうかが問われています。
今後の焦点は、東京大学がこの検証要求に対し、どのように具体的な選考理由を説明し、納得を得られる回答を示すかに移るとみられます。
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