高市早苗首相は10月13日の衆院予算委員会において、国際刑事裁判所(ICC)について「今後も支持する」と述べました。また、トランプ米政権がICCに対して行った制裁措置に対し、日本の立場と相容れないとして深い懸念を表明しています。
トランプ米政権によるICCへの制裁措置
今回の騒動の背景には、トランプ米政権によるICCへの厳しい措置があります。米国が9日に発表した措置は、ICCという機関全体を標的にしたものです。具体的には、米国を拠点とするテクノロジー企業や金融サービスへのアクセス、およびドルの使用などを遮断するという内容であり、裁判所の業務システムや資金決済といった運営基盤に圧力をかけるものとされています。なお、ICCと取引のある米国企業や個人には、取引を整理するための6カ月の猶予期間が設けられました。
米国がこのような措置に踏み切った背景には、ICCがイスラエル指導部への逮捕状を発付したことや、米軍によるアフガニスタンでの戦争犯罪疑惑を捜査したことを問題視してきた経緯があると報じられています。
また、この制裁のタイミングも注目されました。ICCの判事を務めた南アフリカの法律家、ナビ・ピレイ氏のノーベル平和賞受賞が発表されてから数時間後に行われたため、国際司法の役割を認めたノーベル委員会の決定と、裁判所に圧力をかける米国の措置が同日に出された形となりました。
高市首相の対応と表明の内容
高市首相は、SNSへの投稿や国会答弁を通じて、一貫してICCを支持する姿勢を示しています。
首相は投稿において、「我が国は国際社会における法の支配を一貫して重視し、その役割を担うICCを支持している」と説明しました。そのうえで、米国の今回の措置について「今回の措置は、こうした一貫した日本の立場と相容れるものではなく、深く懸念している」との考えを示しています。
さらに、ICCが本来の役割と機能を果たせるよう、「必要な支援を行っていく」と記しました。また、9月の外相間での意思疎通に基づき、米国に対する働きかけを続けていく考えも明らかにしています。
10月9日の参院代表質問では、国民民主党の舟山康江氏に対し、「ICCを一貫して支持してきており今後も支持していく」と重ねて発言しました。非常に厳しい状況にあるとしつつも、「財政面の支援、共同声明、制裁に対応する制度を含め関係国との意思疎通を継続する」と語り、「どのような対応が最も効果的かも踏まえ検討のうえしっかりと取り組む」と強調しています。
過去の対応との違いと外交的な背景
今回の迅速な対応について、一部の報道では過去のケースとの対比が指摘されています。
8月に米国が日本人の赤根智子ICC所長を個人制裁の対象に指定した際、高市首相は制裁発表の翌日に「非常に遺憾に思う」と答えるにとどまっていました。この当時の対応について、与野党議員から日本政府の対応が消極的であるとの批判が出たと報じられています。毎日新聞は、こうした「弱腰」批判を国内外から受けたことを意識し、今回は迅速な発信を準備していたのではないかと分析しています。
外交面では、9月の日米首脳会談において、高市首相はトランプ大統領と率直なやり取りを行い、日本の考え方を伝えたと話しています。また、茂木敏充外相とルビオ米国務長官との間でも意思疎通を続ける方針です。
あわせて、外務省の動きについても言及があり、外相は9日夜の声明で、ルビオ国務長官と意見交換し、意思疎通を継続する意向を示しました。難しい状況の中ではあるものの、米国への働きかけを行うとともに、赤根ICC所長や関係国との意思疎通を継続し、法の支配の強化に取り組むとしています。
また、ロシアによる措置についても、尾崎正直官房副長官が「不当であり、受け入れられない」と明らかにしています。
このように、米ロ両国からの圧力が高まる中で、日本政府は「法の支配」という理念に基づき、ICCへの支援と米国への働きかけという難しいバランスを模索している状況にあるとみられます。
出典 時事通信 朝日新聞 日本経済新聞 TBS NEWS DIG 高市首相、トランプ氏の圧力にも「ICCを支援する」…米国の制裁には「深い懸念」(中央日報日本語版) 高市首相、ICC「今後も支持」(時事通信)|dメニューニュース(NTTドコモ) 高市首相、ICC「今後も支持」|Infoseekニュース
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