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高市首相が国連で訴えた「旧敵国条項」削除と対中発信の背景

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高市早苗首相は、米国ニューヨークの国連本部で行われた国連総会の一般討論演説において、国連憲章にある「旧敵国条項」を早急に削除すべきだと強く訴えました。この発信に対し、中国や北朝鮮が反対を表明するなど、外交上の緊張が高まっています。

本記事では、議論となっている「旧敵国条項」とは何か、そしてなぜ高市首相がこのタイミングで削除を主張したのか、その背景と経緯を整理します。

目次

そもそも「旧敵国条項」とは何か

国連憲章に含まれる「旧敵国条項」とは、第二次世界大戦で敗れた日本やドイツなどの「敵国」に対し、国連安全保障理事会の承認を得ることなく軍事行動を取れるとする例外規定のことです。

この条項の対象国は明示されていませんが、第二次世界大戦中に連合国の敵国であった日本などが含まれるとされています。具体的には、安全保障理事会の許可を要することなく直接軍事行動を取る権利を有するという内容です。

しかし、この条項はすでに時代遅れであるとの認識が広がっています。1995年の国連総会決議では「死文化している」と認識されており、2005年の国連総会では、中国を含む全加盟国がこの条項を削除する方針を盛り込んだ成果文書の決議を全会一致で採択しました。

それにもかかわらず、現在も削除が実現していません。その背景には、1993年から始まった国連憲章改正の議論が、常任理事国枠の拡大や拒否権を巡ってまとまっていないことがあります。旧敵国条項の削除だけを目的とした憲章改正は現実的ではないと指摘されています。

高市首相が削除を主張した経緯と狙い

外務省によると、日本の首相が国連演説でこの条項に言及したのは、当時の小泉純一郎首相以来、高市首相が初めてとなります。

高市首相は演説の中で、「旧敵国条項は早急に削除されるべきです。70年間にわたり国連の取り組みに大きく貢献してきた日本の誇りと名誉にかけて、強く申し上げておきます」と訴えました。

このように削除を強く求めた背景には、中国側による対日牽制への対抗があると考えられます。昨年の11月、在日本中国大使館は「日本が再び侵略に向けた行動を取った場合、中国には『直接的な軍事行動』を取る権利がある」とXに投稿しました。また、今年9月の国連総会前にも、中国外務省の毛寧報道官が同条項は有効であると主張し、日本側は軍国主義と完全に決別するべきだと述べています。

中国が旧敵国条項を根拠に日本への批判を重ねる中、高市首相は2005年の国連総会決議という、中国も賛成した事実を持ち出すことで反論した形です。

中国・北朝鮮の反発とその主張

高市首相の発信に対し、中国と北朝鮮は激しく反発しています。

中国外務省の郭嘉昆副報道局長は会見で、旧敵国条項は「戦後国際秩序を守るために重要だ」と主張しました。また、高市政権について「日本の現政権は侵略の歴史を否定するだけでなく、再軍事化を加速し、地域の平和を脅かす突出した要因となっている」と述べ、再び軍国主義が国際平和の脅威となることを防ぐために、条項には重要な現実的意義があるとの認識を示しました。

さらに、国連総会で中国の代表は、反論権を行使して条項の削除に「断固として反対する」と表明しました。その中で、日本の再軍備が世界の平和と安定への脅威となっていると一方的に批判しました。

北朝鮮の代表も同様に、日本は依然として国連憲章上の敵対国であるとし、条項の削除を求めることは「恥ずべきことで滑稽だ」と主張しています。

日本政府の対応と今後の視点

日本政府は、こうした中国側の主張に対し、一貫して反論を続けています。外務省は、死文化した規定がいまだ有効であるかのような発信は、国連において既に行われた判断と相いれないとの見解を示しています。

また、国連総会の場においても日本の代表は、1995年および2005年の国連総会決議は中国を含む支持を得て採択されたことを指摘し、日本は他国に脅威を与える軍事大国となることなく、専守防衛を堅持していることを強調しました。

高市首相は今回の演説で、旧敵国条項の削除だけでなく、「進化したFOIP(自由で開かれたインド太平洋)」に基づいた供給網の強靭化や、法の支配に基づく国際秩序への貢献についても発信しています。

理論上のリスクとして、日本と中国に武力衝突が起きた際に、中国側が旧敵国条項を利用して安保理の承諾なく武力行使を正当化することが可能であるという指摘もあります。ただし、米国との武力衝突を避けるため、中国が一方的にこの条項を用いて武力行使することはないだろうという見方もあります。

政府の立場として、外務省国連課の古永誠首席事務官は、旧敵国条項は1995年の国連総会決議で死文化していると認識しており、憲章からの削除を求める首相の演説内容は政府方針と一致していると説明しています。

出典 東京新聞 ブルームバーグ 産経新聞 TBS NEWS DIG 毎日新聞 日テレNEWS 高市首相、国連で削除訴えた「旧敵国条項」 中国も賛成したのに…対日牽制に利用 | Japan Forward

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