カーシェアリングサービス「タイムズカー」への不正アクセスにより、利用者の個人情報や運転免許証の画像などが大量に流出したことが明らかになりました。運営会社であるパーク24による発表や複数の報道によれば、流出した情報の規模は極めて大きく、なりすましによる二次被害を懸念して免許証の再交付を求める利用者が急増しています。
流出の経緯と被害規模
事の発端は2026年9月25日、タイムズモビリティがWebシステムへの不正アクセスを検知したことにあります。その後、同社は段階的に被害状況を公表しました。
9月28日の報告では、退会者や入会未完了者を含む約660万件の会員情報が第三者に取得されたとされました。これには氏名、住所、生年月日、電話番号、メールアドレスなどが含まれています。さらに翌29日には、そのうち約160万件のアカウントにおいて、運転免許証画像や現住所確認書類画像、学生証画像などの本人確認書類が漏えいしていたことが判明しました。
なお、パーク24は、クレジットカード情報は漏えいしていないことを確認しており、パスワードについても復元できない形式で保管されていたため、現時点で第三者に認識可能な状態で漏えいした事実は確認されていないと説明しています。
運転免許証の「特例再交付」への動き
通常、運転免許証の再交付は紛失や住所変更などの場合に限られます。しかし、今回の事態を受けて、複数の県の公安委員会が特例として、情報漏えいの可能性がある人への再交付を受け付けています。
新潟県では10月2日から、滋賀県や京都府でも特例措置が開始されました。新潟県警の石橋壮一郎免許管理官は、「今回については重大な事案であることを踏まえて、他県との情報交換を経た上でやるべきと判断した」と述べており、顔写真の変更や免許証番号の繰り上げも可能にするなど、異例の対応を取っています。
こうした対応は少なくとも16県で確認されており、福岡県では10月8日までに120件、10月9日だけで66件の再交付申請があるなど、需要が広がっています。また、愛知県でも10月1日から特例が始まり、10月7日までに74人に再交付されたと報じられています。
懸念される二次被害と自衛策
専門家は、単なる文字情報だけでなく「画像」が流出したことの危険性を指摘しています。
不正検知・金融犯罪対策を手掛けるカウリスの島津敦好代表は、流出した情報が「銀行口座の不正開設やクレジットカードの不正作成などに悪用される危険性がある」と警鐘を鳴らしています。また、「高精度な偽造運転免許証を作成され、不正口座の開設につながるおそれがある」とも述べています。
立命館大学の上原哲太郎教授も、AIによって免許証の顔写真そっくりの画像を生成してなりすます手口がすでに使われつつあると解説しており、クレジットカードや消費者金融での不正利用のリスクを指摘しています。
こうしたリスクに対し、自衛策として信用情報機関への申告が推奨されています。クレジットカード関連を扱うCICや、貸金業を扱うJICC、KSCなどの機関では、本人確認書類の画像流出に伴う本人申告を受け付けています。ただし、今回の事件の影響で申し込みが集中しており、コールセンターの混雑や処理の遅延が発生している状況です。
補償をめぐる利用者の不満と企業の対応
特例での再交付が進む一方で、利用者の間では費用負担への不満が高まっています。再交付の手数料は原則として本人負担となっており、金額の目安は1,500円から2,700円程度です。SNS上では「なんで手数料こっち持ちなの」「腑に落ちない」といった声が上がっています。
これについてパーク24は、再交付の手数料を補償対象に含めるかという問いに対し、10月9日の取材において「新しくお伝えできる事項がございましたら、速やかに対象となる関係者の皆様へご連絡するとともに、当社Webサイト等を通じてお知らせさせていただきます」と回答しています。
また、免許証の再交付という選択肢についても、同社は謝罪したうえで「再交付につきましては、お客様それぞれのご事情やご判断によるものと考えております」としています。公式サイト上では、補償の全体方針については外部専門機関による調査結果を踏まえて決定する予定であると説明しています。
一方で、企業の管理責任を問う動きも出ています。弁護士が特設サイトを開設し、パーク24などが会員の個人情報を適切に管理する義務を怠ったとして、損害賠償を求める集団訴訟に向けた準備が進められていると報じられています。
出典 J-CAST 京都新聞 NHK 東洋経済オンライン 西日本新聞 新潟日報 フジテレビ タイムズカーの大規模な情報漏えいで免許証の特例再交付-少なくとも16県に|セキュリティニュースのセキュリティ対策Lab タイムズカー“免許証画像160万件流出”の衝撃…「勝手に口座を作られお金を借りられるリスクも」セキュリティ専門家が推奨する“自衛の手段” – ライブドアニュース 【衝撃】運転免許証の画像が流出…専門家が警告「借金の申し込みが可能」 タイムズカーの会員情報最大約600万件漏えい 対策と対応を解説(読売テレビ)
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