沖縄県那覇市のホテルで女性が殺害され、持ち物を奪われた疑いで、米海兵隊員が逮捕されました。この事件は、米軍関係者が関わる犯罪に対して沖縄の地元住民が長年抱き続けてきた不満を改めて再燃させる形となっています。
事件の経緯と容疑者の足取り
沖縄県警によると、屋宜杏奈さん(39)は10月3日未明、那覇市内のホテルの一室で死亡しているのが発見されました。この事件で、米軍普天間飛行場(宜野湾市)に配属されていた米海兵隊上等兵のデヴィン・ジェイコブ・バラード容疑者(20)が、強盗殺人の疑いで4日に逮捕されました。
報道によると、二人の足取りは以下の通りとみられています。 事件前日の2日夜、沖縄市のゲート通りでバラード容疑者とみられる男性が歩道で瓶ビールを飲む様子が確認されており、付近にいた屋宜さんとともにタクシーで那覇市へ向かったとみられます。その後、国際通りの店舗に立ち寄ったあと、3日午前2時10分ごろにホテルに入室したとされています。
防犯カメラの映像には、容疑者とみられる男性が屋宜さんと一緒にホテルに入った後、女性の持ち物を持って一人で出ていく様子が映っていたと報じられています。出室したのは入室から1時間弱後の午前3時前だったとみられ、その後、ホテル従業員が午前4時20分ごろに客室で遺体を発見しました。
死因については、首を圧迫されたことによる窒息だったと報じられています。遺体の首には部屋に備え付けられていた電話のコードが巻かれた状態だったとされており、沖縄県警は突発的な事件の可能性があるとみているようです。バラード容疑者は逮捕後、「知りません」と容疑を否認していると報じられています。
裁判権と拘束の仕組み
米軍関係者が関わる事件では、公務中であったかどうかによって、日本とアメリカのどちらが優先的に裁判権を持つかが決定されます。
今回の事件については、容疑が軍務と無関係なことから、日本側がバラード容疑者を勾留して捜査を進めています。なお、日本に裁判権がある場合であっても、アメリカ側が容疑者を拘束しているときは、日本が起訴するまでアメリカが拘束を続けることができる仕組みになっています。
在日米国大使館は、米軍人1人が拘束されていることを把握しており、事実関係を明らかにするため日本政府および地元当局と連絡を取り、協力していると述べています。
沖縄における米軍駐留の背景と住民の反応
沖縄県は、日本で最大の米軍駐留地となっており、全都道府県の中で面積が最小レベルでありながら、在日米軍の専用施設の約7割が集中しています。現在、アメリカは約5万5000人の軍関係者を日本に駐留させており、その多くが沖縄に集中している状況です。
このような環境下で、米兵が関わる事故や犯罪が続いているため、地域住民の反発は非常に強まっています。過去には2016年に20歳の女性がレイプされ殺害された事件が発生し、数万人の住民が大規模な駐留に抗議した経緯があります。この時の元米海兵隊員には無期懲役が言い渡されました。
今回の事件を受けて、那覇市と東京都ではそれぞれ約100人規模の抗議行動が行われ、SNS上でも強い怒りの声が上がっています。
地元で暮らす佐藤あいさん(52)は、「正直『またか』と思いました」とBBCに語り、「私が幼いころから何も変わっていない。何度同じことを繰り返し、被害者を増やし、その家族を苦しめるのか。そして沖縄県民を悲しませるのか」と、繰り返される事件への深い絶望感をあらわにしています。また、宜野湾市に住む大城明美さん(62)も、「慣れてしまってはいけないのに、何度も起きているので、驚かなくなっています」と述べています。
政府の対応と求める対策
高市早苗首相はアメリカに公式に抗議しましたが、住民からは不十分だという声が出ています。前出の佐藤さんは、「『抗議する』、『深刻に受け止めている』といった、何十年も前から繰り返されている(日本政府の)コメントに落胆しています」と話し、高市首相に対し、ドナルド・トランプ大統領に直接電話をして具体的な対策を話し合ってほしいと要望しています。
また、佐藤さんは、沖縄に米軍基地は不要と考えているものの、それは外国人を排除することではないと説明した上で、「(自分にも)娘がいるので、今回の被害者の親御様の気持ちを考えると胸が苦しい。男性とホテルに行ったことは断じて悪いことではありません。相手の男性がたまたま米軍人で極悪人だったのが悪いのです」と、被害者への配慮と加害者の責任を明確にする考えを示しています。
出典 BBC CNN NHK 沖縄の女性強盗殺人、遺体の首に「電話コード」巻かれた状態で発見…容疑の米海兵隊員「足取り」も明らかに(読売新聞オンライン)
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