アメリカで11月3日に実施される中間選挙まで1カ月となり、トランプ大統領の支持率低迷が共和党にとって強い逆風となっていると報じられています。
中間選挙とは、大統領任期の途中で行われる国会議員選挙のことです。今回は下院(任期2年、定数435議席)の全議席と、上院(任期6年、定数100議席)の約3分の1にあたる35議席が改選されます。現在は共和党が上下両院の多数派を握っていますが、この主導権を維持できるかが焦点となっています。
過去最低水準に落ち込む支持率の現状
複数の世論調査で、トランプ大統領の支持率は極めて低い水準にあることが示されています。
ロイター通信が6日に公表した世論調査によると、トランプ大統領の支持率は32%となっており、過去最低を記録した9月の調査から状況が変わっていないことが明らかになりました。また、ウォール・ストリート・ジャーナルによる9月の調査では支持率37%となっており、1990年以降の同紙調査における中間選挙前の大統領としては過去最低を記録したと報じられています。
特に顕著なのが、かつての支持基盤であった層の離反です。2024年の大統領選ではヒスパニック系の有権者の半数近くがトランプ氏に投票し勝利を後押ししましたが、最新の調査では、トランプ大統領の実績を支持すると答えたヒスパニック系有権者は24%にとどまり、2期の大統領任期を通じて最も低い割合となりました。
さらに、11月3日の中間選挙で共和党に投票すると答えたヒスパニック系有権者が26%であるのに対し、民主党に投票すると答えた人は52%と、約2倍の差がついています。
支持率低迷の背景にある不満要因
支持率が低迷している背景には、国民の生活に直結する経済問題と、外交面での不満があると考えられています。
まず経済面では、物価高が大きな要因として挙げられています。中東情勢の混乱から米国内の燃料価格が高止まりしており、これが共和党候補への逆風となっていると報じられています。
外交・安全保障面では、長引く対イラン軍事作戦への不満が根強く、その「出口」が見えない状況がトランプ大統領の焦燥感を強めているとみられています。
また、政治的な手法への反発も広がっています。トランプ大統領がCNNなど一部のメディアに対してホワイトハウスでの取材を禁止したことについて、調査では68%が不適切だと回答しました。さらに、政府の税金を投じて放映されていたトランプ大統領登場のテレビCMについても、86%が不適切だと回答しています。このCMは「選挙広告のようだ」として与野党から批判が噴出し、トランプ大統領は当初「標準的な広報活動だ」と擁護していましたが、最終的に自己資金や特別政治活動委員会(スーパーPAC)の資金でまかなう方針に転換しました。
選挙戦の現状と今後の見通し
現状の情勢は、野党・民主党にとって追い風が吹いている状況にあります。
リアル・クリア・ポリティクスの9月30日時点のデータによれば、中間選挙で民主党候補に投票すると答えた人は50.6%で、共和党の42.3%を8.3ポイント上回っています。また、政治分析サイトのクックは、かつて共和党に分があった上院の多数派争いについて、9月23日時点で完全な五分五分になると分析しています。
さらに、共和党地盤であるアラスカ州の上院選においても、情勢判断が「接戦」から「民主党が優勢」に切り替わったと伝えられています。民主党は下院だけでなく上院でも、優勢な選挙区数が共和党を上回る状況にあります。
こうした逆風の中、トランプ大統領は局面打開に向けた動きを見せています。共和党の支持が強い「レッド・ステート(赤い州)」であるオクラホマ州などの集会で遊説を開始し、自ら先頭に立って支持を訴えています。
オクラホマ州の集会でトランプ大統領は、「私が出馬していると思ってほしい。もし我々が勝てなければ、民主党は私を」と述べ、民主党が議会で多数を握れば3度目の弾劾訴追を受ける可能性を指摘しました。また、民主党が勝利すれば増税が行われ、「大恐慌が訪れる」と危機感をあおる演説を行っています。
また、支持獲得の狙いがあると考えられる施策として、高齢者を対象に1人90ドルの現金給付を行うことを発表したほか、軍需企業アンドゥリルによる新工場計画の発表式典に参加し、「この大規模な計画は3100人もの新規雇用を生む」と経済的成果をアピールしています。
現在の情勢は、市民の不満を追い風に民主党が上下両院を奪還した2006年と似ているとの見方もあり、共和党にとって非常に厳しい選挙戦が続いています。
出典 朝日新聞 産経新聞 NHK フジテレビ 読売新聞オンライン 日本経済新聞
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