ウクライナの首都キーウを流れるドニプロ川に架かる複数の橋が、ロシア軍による無人機攻撃を受けました。これにより、市内の交通の大動脈が寸断され、深刻な渋滞など市民生活への影響が広がっています。
相次ぐ無人機攻撃とインフラへの被害
ロシア軍は10月1日から3日にかけて、キーウのドニプロ川に架かる二つの橋を無人機で相次いで攻撃したと報じられています。特に、地下鉄が通る「南橋」は1日朝に2機の無人機が衝突したほか、同日夜や2日にも同様の攻撃が複数回ありました。
被害状況について、キーウ市によると、橋脚やガードレール、路面に加え、地下鉄の線路を保護するコンクリート構造物が損傷したということです。重大な損傷は確認されていないものの、南橋を含む複数の橋で通行が制限されました。また、パトン橋についても通行が一方向に制限されるなどの措置が取られ、市内各地で長い交通渋滞が発生しています。
攻撃に使用されたのは、ジェットエンジンを搭載した高速移動が可能なドローンであるとされており、ロシアのプーチン大統領が視察した最新のジェットドローン「ゲラニ」が使用された可能性が指摘されています。
首都キーウにおける交通の重要性と経済的打撃
キーウ市内の地理的な特性が、今回の攻撃による影響を大きくしています。ドニプロ川を挟んだ東岸(左岸)には多くの住民が居住するベッドタウンが広がっている一方、政府庁舎やオフィス街などの主要施設は西岸(右岸)に集中しています。
経済アナリストによると、現在でも毎日約50万人が左岸から右岸へ通勤しているとされています。このような状況の中、川を繋ぐ橋が封鎖されたことで、市民の移動が困難になり、経済活動への打撃が懸念されています。
また、キーウでは連日のように空襲警報が鳴り響いており、地下鉄の一部区間の運行中断が常態化していることも混乱に拍車をかけています。飛来する脅威への警告により、推計300万人の市民に避難が促されている状況にあります。
当事者の反応と攻撃の背景
キーウのビタリ・クリチコ市長は、安全保障会議を開いてリスクを検証し、市内の状況について「極めて深刻だ」と述べています。また、テレグラムへの投稿で「首都は非常に劇的な状況にある」「平時のように生活できるとはもう言えない。敵がキーウを引き裂いている」と訴え、首都が戦時体制に入るべきだと述べました。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシアのプーチン大統領が民間地域への大規模な攻撃を容認し、武力紛争のルールを反故にしたと非難しています。ゼレンスキー氏はX(旧ツイッター)で、プーチン氏が先月「今はもうルールがない」と宣言したという未確認の情報源や周辺人物の言葉を引用して批判し、「ロシア人はわれわれを占領できなかった。だから今、彼らは大規模攻撃と大量殺戮を行っている」と述べています。
また、ゼレンスキー大統領は、ロシア軍が使用する無人機やミサイルの生産が、欧米や中国、そして日本の製品に依存していると指摘し、各国に輸出規制を強めるべきだと訴えています。
一方で、ロシア国防省はテレグラムへの投稿で、キーウの橋や周辺の発電施設、南部オデーサ近郊のイズマイル港などを攻撃したことを表明しました。ロシア側は、これらの施設はいずれも軍事目的で使用されていたと主張しています。
戦略的な変化と今後の見通し
2022年2月の侵攻開始以降、激しい地上戦は主にウクライナ東部で展開されており、首都キーウは最前線ほどの壊滅的な被害は免れてきました。しかし、ここ数か月で空爆が増加しており、住民の日常生活は混乱しています。
ウクライナ政府の高官は、今回の橋などの重要インフラへの攻撃について、プーチン大統領が先月、ロシア軍の航空攻撃に対する制約を撤廃するよう命じたことに関連している可能性があるとの見方を示しています。
ロシア軍による重要インフラへの攻撃強化は、単なる軍事的な妨害にとどまらず、市民生活を麻痺させることで心理的な圧力や経済的な打撃を与える狙いがあるものとみられています。
出典 テレビ東京 沖縄タイムス 西日本新聞 琉球新報 山陽新聞 AFPBB News ロシア軍、首都キーウの橋など重要インフラ攻撃強化 市民生活に影響 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト ロシア軍、首都キーウの橋など重要インフラ攻撃強化 市民生活に影響 (ロイター)|dメニューニュース(NTTドコモ)
ピックアップ記事



