サクラやモモなどのバラ科の樹木に深刻な被害をもたらす特定外来生物「クビアカツヤカミキリ」の食害地域が、ここ5年半で急激に拡大していることが報じられています。
読売新聞が環境省や農林水産省、自治体に問い合わせたところ、2026年9月18日までに311の市区町村で被害が確認されました。これは2020年度末時点の65市町村から5倍近くに急増した計算になります。被害が確認されたのは22の都府県に及び、農業や観光への打撃が懸念される状況となっています。
特に被害樹木の本数が多いのは大阪府で1万4860本に達しており、次いで群馬県の1万3927本、和歌山県の4891本と続いていると報じられています。
クビアカツヤカミキリとはどのような生物か
クビアカツヤカミキリは、体長約2〜4センチメートルで、全体的に光沢のある黒色をしていますが、胸部(首の部分)が赤いのが特徴的な外来カミキリムシです。
この昆虫が特に危険視されるのは、その幼虫による食害です。成虫が樹皮の割れ目などに産卵し、ふ化した幼虫が樹木の内部に侵入します。幼虫は幹の内側にある「内樹皮」と呼ばれる部分を食い荒らして成長しますが、内樹皮は養分を運ぶ重要な役割を担っているため、ここを破壊されると樹木は弱り、枯死する恐れがあります。
食害のサインとして特徴的なのが「フラス」と呼ばれる排出物です。これは幼虫が排出するふんと木くずの混合物で、茶色や黄褐色のうどん状をしており、樹木に開けた排出口から大量に排出されます。被害を受けた木の根元や幹の股などにこのフラスが堆積している場合、内部で幼虫が活動している可能性が高いとされています。
また、被害を受けてもすぐには花や実が付くため、発見が遅れやすく、気づいたときには手遅れになっているケースがあるとも指摘されています。
国内での拡大経緯と法的規制
日本国内では2012年に愛知県で最初の被害が確認されました。その後、2013年には埼玉県、2015年には群馬、東京、大阪、徳島の4都府県へと生息域が拡大しました。
こうした深刻な被害状況を受け、国は2018年1月にクビアカツヤカミキリを「特定外来生物」に指定しました。特定外来生物に指定されると、法律により飼育、保管、運搬、輸入、および野外への放出などが原則として禁止されます。違反した場合には、罰金や懲役を科せられる可能性があるため、生きたまま持ち運ぶことは厳禁とされています。
各自治体による対策と現状
被害の拡大に対し、各地の自治体では独自の防除策や監視体制を整えています。
例えば神奈川県松田町では、成虫の駆除に対し1匹につき1,000円の報奨金を設定しました。町内ではまだ確認されていないものの、近隣の小田原市や中井町で成虫や幼虫、フラスの確認が相次いでいることから、早期の対応と情報収集を目的とした取り組みとして、県内で初めて報奨金を設けたとしています。
大阪府堺市では、市内すべての区で生息が確認されており、令和7年度から5か年を重点期間とする「堺クビアカ防除大作戦」を実施しています。
また、栃木県や茨城県などの自治体では、成虫を見つけた場合はその場で踏みつぶすなどの捕殺を行うよう呼びかけています。幼虫への対策としては、被害木の伐採が最も有効とされており、伐採できない木については排糞孔から薬剤を注入して殺虫する方法や、成虫の飛散を防ぐために幹にネットを巻く方法などが案内されています。
今後のリスクと注意点
クビアカツヤカミキリの被害は、単に樹木が枯れるだけでなく、枯死した樹木が倒木や落枝となることで、人命や財産に被害を及ぼすリスクも孕んでいます。
街路、公園、学校、農場、庭、山林など、バラ科の樹木がある場所では特に注意が必要です。5月中旬から8月頃にかけて成虫が活動し、4月頃から秋にかけては幼虫によるフラスの排出が活発になります。
万が一、成虫や特徴的なフラスを発見した場合は、決して持ち帰らずにその場で駆除し、お住まいの地域の市町村環境主管課や専門機関へ連絡することが推奨されています。
出典 読売新聞オンライン 神奈川新聞 中日新聞 特定外来生物クビアカツヤカミキリについて/茨城県 堺のサクラをまもれ!クビアカツヤカミキリ対策にご協力を!! 堺市 クビアカツヤカミキリについて/五條市 栃木県/クビアカツヤカミキリにご注意ください クビアカツヤカミキリの駆除や被害を発見した場合の報告をお願いします。 – 河内長野市ホームページ
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