総務省は、居住地以外の地域に継続的に関わる人を登録する「ふるさと住民登録制度」を2027年3月に開始する方針です。この制度は、地域外から定期的に訪れる「関係人口」の増加や、都市と地方に生活拠点を持つ「二地域居住」の推進を目的としています。
「ふるさと住民登録制度」の仕組みと狙い
本制度は、石破前政権が創設を表明したもので、一人ひとりが愛着のあるまちに主体的に関わる「ふるさと住民」となり、継続的な接点を持つことで、単に「行く」だけでなく、いつでも「帰れる」場所を増やしていくことを目指しています。
登録は専用アプリを通じて行われる想定で、以下の2種類の登録方法が用意される見通しです。
- ベーシック登録:誰でもすぐに登録でき、地域の独自情報の閲覧や、担い手活動への参加が可能になります。
- プレミアム登録:自治体が指定する祭りや農作業などの活動に年3回以上参加することが要件となります。プレミアム登録者には、自治体の判断で宿泊費や交通費の補助が行われます。
総務省は、2026年度中にもこの専用アプリの運用を開始する計画です。
自治体の反応と期待される効果
総務省が6月から7月にかけて、47都道府県と1741市区町村を含む計1788団体を対象に実施したアンケートでは、1327団体が制度参加に前向きな意向を示しました。これは全体の約74%に相当します。
自治体が制度に期待する効果としては、以下の項目が多く挙げられています。
- 地域経済の活性化(497団体)
- 地域課題の解決(370団体)
- 移住者の増加(240団体)
多くの自治体では、農業現場の人手不足や伝統行事の継続、地域活性化のための斬新なアイデアをくれる若い仲間がほしいといった悩みを抱えています。一方で、都心の住民の中には、地域の祭りに参加したい、自分の知識を地域活性化に役立てたい、観光で訪れた素敵な場所ともっとつながりを持ちたいと考える人がおり、本制度がその思いをつなぐ役割を果たすことが期待されています。
なお、自治体の参加は任意ですが、事務手続きなどの必要経費による財政負担を懸念する声もあるため、総務省は制度の運営費を支援するなど、参加を促す取り組みを進めるとしています。
民間企業の動向と今後の展望
この制度には、EC業界や旅行関連業界からも強い関心が寄せられています。特にふるさと納税制度との親和性が高く、ふるさと納税ユーザーの一部が実際に地域を訪問する動きが広がると予想されています。
具体的な企業の動きとして、以下のような事例が報じられています。
- 楽天グループ:来春にポータルサイトを開設するほか、北海道上川町、長野県飯綱町、山梨県甲州市の3自治体と「ふるさと住民応援コンソーシアム」を構築し、共同プロジェクトを開始しています。
- JR東日本:都内での産直市や新幹線車内での情報発信、プレミアム登録者の来訪実績に応じたJREポイント還元などを検討しています。
- ANAグループ:鳥取県(米子市、倉吉市、琴浦町、南部町)や高知県(室戸市、越知町、日高村)と連携し、モデル事業と二地域居住を組み合わせた実証事業を進めています。
また、株式会社カヤックは、総務省からモデル事業の伴走支援やアプリ実証などの事務局業務を受託しており、7道県21市町村を中心とした自治体の支援に取り組んでいます。
専門家の矢部智仁氏は、登録者を増やすこと自体に大きな経済的価値があるわけではないとし、「制度によって可視化された人々の関心を、地域での活動・滞在・消費・投資へとつなげる市場をつくれるかどうか」が問われると指摘しています。そのための支援において、不動産業や建設業が環境づくりという新たな役割を担う可能性について言及しています。
このように、「ふるさと住民登録制度」は単なる登録制度に留まらず、官民が連携して地域活性化と新たなライフスタイルを提案する枠組みとして整備が進められています。
出典 山陽新聞 西日本新聞 読売新聞オンライン 「ふるさと住民」27年3月開始方針 「ふるさと住民登録制度」にEC・旅行関連業界が熱視線 | 通販通信ECMO 総務省|ふるさと住民登録制度ナビ-トップ 公民連携推進機構主催の地方創生Award2026(後援:内閣府・総務省)10月8日(木)衆議院第一議員会館で開催|1, ANAグループ、ふるさと住民登録制度のモデル事業で鳥取県・高知県と連携|ふるさと住民制度・実践ガイド【公式】 あの町にも移住需要が! 総務省推進の「ふるさと住民登録制度」で何が起こるか?|不動産投資の健美家 カヤック、総務省「ふるさと住民登録制度」 モデル自治体の伴走支援・ アプリ実証など事務局業務を受託 | 面白法人カヤック
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