日本に拠点を置いて起業する外国人の動きに大きな変化が出ています。株式会社帝国データバンクの調査によると、2026年上期の外国人による新設法人数が前年比で大幅に減少し、過去5年間で最低の水準となったことが報じられています。
外国人による新設法人の現状
帝国データバンクが公開したデータによれば、2026年上期の外国人起業による新設法人は4,731社でした。これは前年同期と比べて52%減という急激な減少であり、過去5年で最も低い数字となっています。
一方で、日本国内全体の起業傾向を見ると、2025年の新設法人は全国で15.6万社にのぼり、年間最多を更新しています。また、起業者の平均年齢も48.9歳(速報値)と、2000年以降で最高齢を更新しており、「シニア起業」が拡大している傾向にあります。
このように国内全体の起業意欲が高まっている状況の中で、外国人による起業だけが突出して減少している点が注目されています。
急減の背景にある「制度の厳格化」
今回の急激な減少の背景には、在留資格に関する制度の見直しがあると考えられています。
特に「経営・管理」の在留資格については、これまでに在留資格の取得や維持だけを目的とした、実態のない「ペーパーカンパニー」の設立といった問題が指摘されてきました。これを受けて、2025年10月に制度の見直しが行われ、以下のような要件が強化されたとされています。
- 事業実態の確認の強化
- 経営基盤に関する要件の厳格化
これらの措置により、いわゆる「抜け穴的な利用」を抑制する狙いがあったとされています。帝国データバンクの視点では、今回のデータから「制度改正は一定の抑制効果を発揮した可能性が高い」と分析されています。
制度の健全化と起業促進のジレンマ
制度の厳格化は、不適切な法人の設立を防ぐという点では一定の成果を上げた可能性があります。しかし、その一方で懸念されているのが、本当に起業意欲の高い外国人の参入機会まで狭めてしまっているのではないかという点です。
今回のデータだけでは、減少した法人が「実体性の乏しい起業」だったのか、あるいは「意欲のある起業家」だったのかを判別することは難しいとされています。
日本政府が外国人材の活用を成長戦略の一つとして掲げているなかで、制度の健全性を保つことと、優秀な起業家を呼び込む促進策とのバランスをどう取るかが今後の課題になるとみられています。
外国人材をめぐる周辺環境
起業だけでなく、雇用される側としての外国人材の状況についても、帝国データバンクが2025年8月に実施した調査で傾向が示されています。
全国の企業を対象とした調査では、企業の約4社に1社(24.7%)が外国人を雇用しており、特に個人向けサービス業などで採用を拡大する傾向にあります。一方で、現場では「教育・コミュニケーション」が突出した課題となっており、円滑な労使関係を構築する仕組みづくりが必要であると指摘されています。
また、地域別の視点では、沖縄県における企業の外国人雇用率が10.8%に達するなど、特定の地域や業種で依存度が高まっている実態もあります。
このように、雇用面では依然として外国人材への需要が高い一方で、起業という形での参入については、制度の壁によって大きな転換点を迎えている状況にあるといえます。
出典 外国人起業、2026年上期は4,731社 前年比52%減、過去5年で最低 制度厳格化で急減(帝国データバンク) [2025年「新設法人」動向調査|株式会社 帝国データバンク[TDB]](https://www.tdb.co.jp/report/economic/20260518-shinsetsu25y/) 外国人の起業、法改正後に4割減 2025年はコロナ禍後で最多(帝国データバンク) [外国人労働者の雇用・採用に対する企業の動向調査(2025年8月)|株式会社 帝国データバンク[TDB]](https://www.tdb.co.jp/report/economic/20250926-foreignworkers/) 沖縄企業の外国人雇用10.8% 帝国データバンク8月まとめ 2024年10月末で1万7239人、前年比19.7%増【表あり】
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