イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は24日、米ニューヨークで開催された国連総会の一般討論演説にて、敵対するイランの体制崩壊を強く主張しました。演説中には、抗議のために多くの国々の代表団が議場を去るという異例の事態となっており、国際社会におけるイスラエルの孤立と、国内の政治状況が重なり合う形となっています。
「イラン体制は崩壊する」演説の内容と演出
ネタニヤフ首相は演説の中で、イランの体制について「(イランの)邪悪な体制は崩壊し、我々はそれを祝うことになる」と述べました。また、イラン政権の崩壊は「時間の問題にすぎない」とし、いつの日かイラン国民は「自由になる」との見方を示しています。
さらに、首相は「あの残虐な政権は、自らのうそと腐敗、残酷さによって打倒される」と語り、国家が存亡の危機に直面した歴史に触れながら、「勝利以外に選択はない」と体制打倒を目指す姿勢を強調しました。
今回の演説では視覚的な演出も用いられました。ネタニヤフ首相は衛星通信サービス「スターリンク」の端末を掲げ、イラン指導部が恐れているのは「人々が真実にアクセスし、選択し、思想の自由や言論の自由を行使できる」技術であると主張しています。この端末を国連総会議長に預け、演説を欠席したイラン代表団に渡してもらう考えを示したと報じられています。
議場の混乱と国際社会への挑発
ネタニヤフ首相が登壇すると、パレスチナなど複数の国の代表が立ち上がって議場を去り、抗議の意を示しました。中にはブーイングやヤジを飛ばす外交官や大使もいたとされています。一方、イスラエル代表団は立ち上がって拍手を送り、議長が「静粛に!」と呼びかける事態となりました。
こうした状況に対し、ネタニヤフ首相は笑みを浮かべながら「道徳上の臆病者は部屋を出ればよい」と挑発したと報じられています。また、退席した各国代表や本部の外で抗議していた人々に対し、「イランの暴君たちが武器を持たない何万人ものイラン市民を虐殺し、傷つけていた時、あなた方はどこにいたのか」と問いかけました。
同盟国・パートナー国への厳しい批判
今回の演説で特徴的だったのは、敵対するイランだけでなく、伝統的な同盟国やパートナー国に対しても厳しい批判を展開した点です。
まず、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸のイスラエル入植地に対し、最近制裁を科す方針を発表した欧州諸国を「反ユダヤ主義の暴徒」に屈したと非難しました。特に英国とフランスについては、過去に巨大な植民地帝国を形成した歴史に言及し、「彼らはイスラエルを、小国イスラエルを『植民地主義』だと批判している。どの口が私たちを責めているのか」と痛烈に批判しています。
また、カタールについても、イスラエルに関する「うそを広めるために巨額の資金」を投じてきたと主張しました。さらに、ニューヨーク市長のゾーラン・マムダニさんについても「反ユダヤ主義者」と呼び、同市長の選出以来、多くのユダヤ人が安心できなくなっていると批判しています。
背景にある軍事衝突と国内選挙の影
こうした強硬な姿勢の背景には、2026年2月に発生した深刻な軍事衝突があります。2026年2月28日、米国とイスラエルがイランを攻撃し、首都テヘランなどを空爆しました。翌3月1日には、イランの国営メディアが最高指導者ハメネイ師の死亡を伝えました。
ネタニヤフ首相は、イランの核施設への攻撃について「攻撃しなければ、われわれは皆、死んでいた」と正当化しています。
また、別の重要な背景として、10月27日に予定されているイスラエル総選挙があります。投票まで5週間というタイミングでの国連演説であり、元駐米大使のマイケル・オーレンさんは、この演説は国連よりもイスラエルの有権者に向けた「選挙演説のような内容」であるとの見方を示しています。
ガザでの戦争への批判が高まるなか、イランへの警戒を呼びかけ、自らの正当性を訴えることで、有権者を説得しようとする意図があると考えられています。
対米関係の微妙な距離感
イスラエルにとって最大の同盟国である米国との関係にも、複雑な状況が見て取れます。2月28日のイラン攻撃は米国と共に開始しましたが、その後の米国とイランによる一時停戦合意にネタニヤフ首相が反対するなど、立場に隔たりが生じました。
今回の訪米にあたり、ドナルド・トランプ米大統領との会談は予定されていません。シンクタンク「ミトビム」のニムロド・ゴーレン氏は、選挙まで1カ月を切るなかでトランプ氏との会談がないことは、両首脳の距離を示すものであり、ネタニヤフ氏の選挙戦に打撃となる可能性があると述べています。
国際的な孤立が深まるなかで、ネタニヤフ首相は国連という舞台を使い、あえて敵を明確にして支持層へ訴えかける戦略をとったとみられます。
出典 TBS NEWS DIG 日本経済新聞 CNN AFPBB News 西日本新聞 国連総会 イスラエル・ネタニヤフ首相が演説 イランの核施設への攻撃“正当化”(TBS NEWS DIG Powered by JNN) 国連総会 イスラエル・ネタニヤフ首相が演説 イランの核施設への攻撃“正当化”(TBS NEWS DIG)|dメニューニュース(NTTドコモ) ネタニヤフ氏、国連演説で英仏を批判「どの口が」(AFP=時事) ネタニヤフ首相、国連演説でマムダニ市長を批判する構え イスラエル総選挙前に対立激化 | ウクライナニュース – #Mezha
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