鹿児島県・奄美大島で、国の天然記念物に指定されているオカヤドカリを大量に無許可で捕獲したとして、文化財保護法違反の罪に問われた中国籍の男2人に、名瀬簡易裁判所はそれぞれ罰金50万円の有罪判決を言い渡しました。
判決を受けたのは、いずれも中国籍で住所不詳のホアン・チュンジェ被告(33)とドン・ジンフイ被告(28)の2人です。裁判所の判断によると、2人は2026年6月21日から23日にかけて、奄美市などの海岸において、オカヤドカリをあわせて1333匹、国の許可を得ずに捕獲したとされています。
名瀬簡易裁判所の鵜飼奈美裁判官は、多量のオカヤドカリを捕獲し奄美大島の生態系に及ぼす影響も大きいこと、そして中国にいる共犯者と連絡を取り合うなど、組織的、計画的で悪質であると指摘しました。一方で、共犯者の氏名を明らかにするなど反省している点なども踏まえ、それぞれ罰金50万円の判決が下されました。
事件の経緯と摘発のきっかけ
今回の事件は、2026年6月に発生しました。奄美署によると、23日に住民から「海岸でヤドカリを密猟している外国人風の2人組がいる」との通報があり、警察官が現場に急行しました。海岸付近の駐車場でレンタカーに乗った2人を発見し、車内を調べたところ、結束バンドでしばられたメッシュ状の袋数袋が見つかりました。その中には、オカヤドカリがぎっしりと詰め込まれた状態だったといいます。
被告らは取り調べに対し、「ヤドカリを採取したことは間違いないが採取を禁止されていると知らなかった」と容疑の一部を否認していると報じられています。
背景にある海外での高額取引と需要
なぜ、これほど大量の天然記念物が標的となったのでしょうか。その背景には、海外における観賞用としての高い需要があるとみられています。
国立環境研究所の許嘉軒・特別研究員によると、中国や台湾では近年、オカヤドカリが観賞用として人気で、市中のペットショップやインターネットオークションなどで売買されているといいます。価格はサイズや色によって異なりますが、最も人気が高い「ムラサキオカヤドカリ」は、1匹2万円前後で取引されることもあるとされています。
また、日本産の個体は比較的大きく、夜間に容易に見つかりやすいという特徴もあります。許特別研究員は、「摘発のリスクを冒してでも、日本で密猟を企てる人物は少なくない」と推察しています。
相次ぐ密猟事件と取り締まりの課題
奄美大島では、オカヤドカリの密猟は後を絶ちません。2025年5月には、中国籍の3人による同様の事件が発生しており、約5200匹(重さ約160キロ)のオカヤドカリが密猟されました。この際は、宿泊していたホテルの支配人が、スーツケースの中から聞こえる「カリカリカリ」という異音に気づいたことがきっかけで発覚しました。
しかし、こうした大量密猟に対して、法的な抑止力に疑問の声も上がっています。2025年の事件では、略式起訴され罰金30万円の略式命令を受けましたが、証拠品となったオカヤドカリのうち約700匹が保管中に死んでしまうという事態も起きています。
環境省のデータによると、奄美空港では2024年度、奄美の固有種を含む野生生物の持ち出しが発覚したケースが少なくとも87件に上り、2019年度の約15倍に急増しているといいます。
生態系への影響と今後の展望
密猟による影響は、単なる個体数の減少にとどまりません。環境省奄美群島国立公園管理事務所の広野行男所長は、「希少種だけでなく、どんな動植物でも乱獲されると生態系に影響が出る恐れがある」と述べています。
また、国立環境研究所の久保雄広・主任研究員は、今回の件は密猟が発覚しているのは氷山の一角だろうとし、日本の希少生物が標的とされている現実に対して、もっと多くの国民が関心を持ち、保全強化や厳罰化をする必要があるのではないかと指摘しています。
奄美市の安田壮平市長は、再発したことを残念に思い、水際対策の強化や罰則の見直しについて関係機関との協議を重ねたいと話しています。
今回の事件で押収されたオカヤドカリは、現在、奄美市の施設で保護されています。その後は、捕獲された場所へ戻されることが検討されています。
出典 スーツケースの中から「カリカリカリ」、開けると大量のオカヤドカリ…奄美大島で中国人グループなどの希少生物密猟相次ぐ : 読売新聞オンライン 「密猟のような外国人風の2人組がいる」国の天然記念物オカヤドカリ許可なく捕獲か 中国籍2人を逮捕(2026年6月24日掲載)|KYT NEWS NNN 中国人3人の大量密猟容疑、地元に衝撃 1匹2万円の天然記念物オカヤドカリを5200匹 1週間かけ乱獲か 取り締まりに限界 奄美大島 | 鹿児島のニュース 「中国国内の共犯者が指示」 奄美大島で天然記念物オカヤドカリ1333匹密猟 中国籍の男2人に罰金50万円(鹿児島ニュースKTS) – Yahoo!ニュース 「中国国内の共犯者が指示」 奄美大島で天然記念物オカヤドカリ1333匹密猟 中国籍の男2人に罰金50万円(KTS鹿児島テレビ)|dメニューニュース(NTTドコモ) 密猟オカヤドカリ、自然に返す – 奄美新聞 オカヤドカリ 許可を得ず捕獲 中国籍の男2人にそれぞれ罰金50万円 鹿児島|Infoseekニュース オカヤドカリ約13㌔を所持 – 奄美新聞 奄美大島で天然記念物オカヤドカリ5200匹密猟 中国人3人逮捕も罰金30万円、抑止力はあるのか – coki (公器)
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