MENU

ハッカー集団Qilinが語る日本のセキュリティ体制とアサヒへの攻撃

  • URLをコピーしました!

世界的なハッカー集団「Qilin(キリン)」が、アサヒグループホールディングス(アサヒGHD)などへのサイバー攻撃について取材に応じました。あわせて、同集団の中心メンバーが日本の捜査当局に拘束されたことが報じられています。

目次

何が起きたのか

2025年9月29日、アサヒグループホールディングスは身代金要求型ウイルス(ランサムウェア)によるサイバー攻撃を受け、大規模なシステム障害に見舞われました。この影響で、飲料や食品の受注・出荷ができなくなり、主要工場の稼働停止に追い込まれるなどの甚大な被害が出たことが報じられています。

攻撃を仕掛けたと主張するハッカー集団「Qilin」は、その後、盗み出した内部資料をダークウェブ(闇サイト群)上に公開し、データの復元と引き換えに身代金を要求しました。

また、この集団の中心メンバーであるロシア国籍の男が大阪市内で日本の捜査当局に身柄を拘束され、ドイツ側に引き渡されたことが関係者によりますと伝えられています。

ハッカー集団「Qilin」とはどのような組織か

Qilinは、2022年ごろから活動が確認されている国際的なランサムウェア集団です。ロシア語話者が中心となっていると考えられており、ロシア語圏限定のフォーラム「RAMP」で宣伝されていた経緯があります。

この集団は「ランサムウェア・アズ・ア・サービス(RaaS)」という仕組みを採用しているのが特徴です。これは、攻撃に用いるウイルスやツールを他の犯罪者にサービスとして提供し、利用者が得る報酬の一部を運営側が受け取るという形態です。この仕組みにより、多くの攻撃者が活動しやすくなり、攻撃が拡大した要因のひとつと考えられています。

彼らが標的とするのは、高い身代金を要求するために価値の高いデータを持つ大規模な組織です。製造業をはじめ、医療、建設、食品加工、法律・専門サービス、金融サービスなど、業界を問わず多岐にわたります。被害地域もオーストラリア、カナダ、英国、米国など世界100カ国以上に及んでいるとみられています。

アサヒGHDが直面した「昭和への逆戻り」

アサヒGHDの被害は、単なるデータの暗号化にとどまらず、物流や製造の根幹に影響を及ぼしました。

特に深刻だったのが、受注や出荷を管理するシステムのダウンです。通常は「需給管理システム」が自動で適切な生産量を計算しますが、これが使えなくなったため、社員が受注や在庫数を手入力で計算せざるを得ない状況になりました。

営業担当者は、顧客から個別に注文を聞き取り、それを表計算ソフトに打ち込んで発注するという、極めてアナログな業務を強いられました。この状態は、物流の正常化まで約2カ月続き、現場では「昭和に逆戻り」した状態であったと伝えられています。

また、供給の滞りは意外なところにも影響を与えました。2025年10月16日には、プロ野球のソフトバンクホークスがクライマックスシリーズ・ファイナルステージを突破した際の恒例行事である「ビールかけ」が、祝勝用のビールを確保できなかったために実施できず、代わりに「シャンパンファイト」が行われる事態となりました。

身代金への対応と情報流出の現状

アサヒGHDの勝木敦志社長は説明会において、身代金については「支払っておりません」と明言しています。

勝木社長は身代金を払わない決断について、「非常に難しい判断だった」と振り返っています。その理由として、日本や海外で支払うことで解決した事例はあるものの、「我々が身代金を払ったことが、その界隈に伝わった場合、新たな攻撃を招くということもあり得る」と述べています。

しかし、身代金を支払わなかったことでシステムの復旧には時間がかかり、業務再開への困難を極めたとみられています。さらに、攻撃側は「ダブルエクストーション(二重脅迫)」という手法を用いており、暗号化したデータの復元だけでなく、盗み出したデータの公開を盾に圧力をかけました。

実際に、2025年12月には、社内会議用の事業説明資料や取引先との商談資料、人材育成プランなどの社内文書、さらには金融機関の個人の口座IDやパスワードを含む大量のデータが闇サイト上に公開されたことが報じられています。アサヒGHDは、流出した疑いのある情報が確認されたとしています。

日本のセキュリティ体制への警告

中心メンバーの拘束を受け、Qilin側はJNNの取材に応じました。その中で彼らは、日本について「世界最悪のコンピュータセキュリティ体制を持つ国のひとつ」であると指摘しています。

さらに、「日本の企業や政府機関に対する攻撃は今後、増加する可能性がある。これは脅しではなく、私たちの専門家としての見解」と強調しています。

セキュリティの専門家によれば、Qilinのような集団は、認証情報の漏洩や闇市場での購入、フィッシング、システムの脆弱性の悪用などを通じて侵入します。対策としては、多要素認証の導入やユーザー教育、脆弱性管理の徹底が重要であるとされています。

アサヒGHDの勝木社長は、なぜ自社が狙われたのかという問いに対し、「それはない。なぜうちだったのか分からない。うちの脆弱性を見つけたのか、うちを狙いにきたのか、それは分からない」と述べています。

出典 テレビ東京 TBS NEWS DIG 日本経済新聞 日テレNEWS 【独自】“日本は世界最悪のコンピュータセキュリティ体制” ハッカー集団「Qilin」中心メンバー拘束で取材に応じる アサヒビールなどにサイバー攻撃(TBS NEWS DIG Powered by JNN) ハッカー集団Qilin 日本に言及 アサヒ GHD を攻撃した Qilin ランサムウェアグループの一般的な TTP|BLOG|サイバートラスト 「アサヒ」攻撃したハッカー集団「Qilin」の手口とは…「金さえ払えば誰でもハッカーに」 – 株式会社アクト

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次