茨城県つくば市にある防災科学技術研究所(防災科研)が、豪雨や暴風といった悪天候な環境下でドローンを飛行させる実験を、所内の大型降雨実験施設で初めて実施しました。
災害が発生した際、迅速に現地の状況を把握することなどを目的とした取り組みです。
暴風雨下での飛行実験の内容と結果
実験は2026年9月25日に行われました。使用されたのは、防水性などを高めた千葉県の双葉電子工業製の中型ドローンです。
実験では、以下の3段階の条件を設定し、ドローンの性能や飛行状況が調べられました。
- 毎時100ミリの雨
- 毎時100ミリの雨 + 毎秒12メートルの風
- 毎時300ミリの雨 + 毎秒12メートルの風
その結果、最も過酷な3段階目の条件においても、ドローンは操縦どおりに飛行することができたと報じられています。また、機体に水滴が付着したものの、カメラによるライブ撮影も可能であったことが確認されました。
今回の成果について、防災科研の大型降雨実験施設研究推進室長である酒井直樹さんは、「悪天候下でもドローンを使える可能性は大いにある。今後も実験を行って課題を把握し、防災に生かしていきたい」と話しています。
ドローン活用における課題と背景
ドローンは、人間が立ち入ることが困難な場所でもリアルタイムで広範囲に撮影できるため、被災現場の調査などに活用されています。将来的には物資の運搬といった役割も期待されています。
しかし、従来のドローンは雨や風に弱い傾向にあり、搭載されているセンサーの機能も低下しやすいという課題がありました。そのため、これまでは災害が収まってから飛行させざるを得ず、迅速な対応という点において課題を抱えていたとされています。
こうした実情に対し、防災科研の酒井さんは、災害時のドローン運用のニーズが高まる一方で、暴風雨では飛行が安定しないという点に触れ、「どんな環境なら安全に使えるのか、装置を活用して調べたい」と述べていました。
国内最大級の実験施設「大型降雨実験施設」について
今回の実験の舞台となったのは、茨城県つくば市にある防災科研の大型降雨実験施設です。この施設は、もともと豪雨災害の防止や軽減を目的に1974年から運用されており、模型斜面を用いて土砂被害を減らす研究など、幅広く活用されてきました。
最大で毎時300ミリの豪雨を降らせることができる国内最大級の施設であり、2025年には毎秒20メートル以上の暴風を発生させることができる送風機(4機の大型送風機を内蔵)が完成しました。これにより、最大クラスの暴風雨を再現することが可能となっています。
この施設ではドローンの飛行試験だけでなく、暴風雨下での車の自動走行など、さまざまな実証実験に活用されています。文部科学省の資料によると、2025年12月には松本大臣が同施設を視察し、実際に暴風雨を体験した際、これらの研究開発が防災対策に大きく貢献していることが紹介されました。
防災科研は、地震や火山、豪雨などあらゆる自然災害を対象とした基礎・基盤的な研究開発を行う、日本の中核的な機関としての役割を担っています。
出典 毎日新聞 産経新聞 松本大臣が防災科学技術研究所(NIED)と物質・材料研究機構(NIMS)を視察:文部科学省
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