アメリカのドナルド・トランプ大統領と、中国の習近平(しゅうきんぺい)国家主席による首脳会談が行われました。この際、トランプ氏が習氏に対して示した異例ともいえる厚遇ぶりが、米国内の与野党議員から批判を浴びています。
異例ともいわれる出迎えの様子
中国の習近平国家主席は、現地時間2026年9月23日、米メリーランド州にあるアンドリューズ統合基地に到着しました。この際、トランプ大統領自らが直接出迎えに現れ、長さ約30メートルのレッドカーペットで歓迎するという対応を取りました。
滑走路では米空軍の楽隊が行進し、米中両国の国旗が掲げられたほか、超音速飛行が可能な米軍の主要戦力であるB1爆撃機2機が上空を飛行しました。現職の米大統領が同基地で外国首脳を直接出迎えるのは、1962年に当時のジョン・F・ケネディ大統領がイギリスのハロルド・マクミラン首相を出迎えた際以来のこととされており、トランプ氏が今回の訪問を極めて重視していたことがうかがえます。
トランプ氏の妻であるメラニアさんは、自身がスケジュールの策定に深く関わったことを明らかにしており、トランプ氏が自ら基地で出迎えることを決めた理由について、「両首脳が素晴らしい関係を築いているためだ」と説明しています。
米政界から噴出する「やり過ぎ」との批判
こうした華やかな演出に対し、米国内では厳しい視線が向けられています。驚くべきは、トランプ氏の与党である共和党の議員からも、「やり過ぎ」だという批判が出ている点です。
米政界や人権活動家らの間では、トランプ大統領が会談を通じた具体的な課題解決よりも、習氏との良好な関係構築を優先させたという受け止めが広がっています。また、民主党の上院議員らは、人工知能(AI)や貿易、重要鉱物、台湾向け武器供与といった実質的な内容よりも、華美な演出が優先されたと批判しています。一部の民主党議員は、「圧政に立ち向かわず豪華な晩さん会選んだ」とまで述べています。
さらに、中国が現状変更を企てているとされる東シナ海や南シナ海の状況などについて、トランプ氏が習氏に懸念を伝えたとは考えにくいという見方も出ています。
会談の議題と「休戦」の延長
今回の訪問は、習氏にとって2015年以来のワシントン訪問となり、3日間の滞在中に非公開の首脳会談や公式夕食会が行われました。協議の議題は、AIや米・イスラエル・イランの戦争、台湾問題、そして貿易戦争の「休戦」延長など、多岐にわたっています。
貿易に関して、スコット・ベッセント米財務長官は23日、米中両国が貿易戦争の「休戦」を来年1月まで延長すると発表しました。もともと、習氏がレアアース(希土類)の輸出規制を緩和する見返りに、トランプ氏が一部の中国製品への関税率を引き下げるという合意は、11月10日に期限を迎える予定でした。ベッセント氏は、中国の何立峰(か・りっぽう)副首相と会談し、将来的に、より実質的な貿易協定を結ぶ可能性についても協議したとしています。
一方で民主党側は、この関税休戦の延長について、世界のレアアース精製を中国が握っているというサプライチェーンの問題に十分に対処できていないとの見解を示しており、中国向け高性能半導体の販売規制を緩和したトランプ氏の対応も批判しています。
両首脳の姿勢と今後の展望
習近平氏は新華社通信の声明を通じ、米中両国について「偉大な国であり、両国の国民も偉大だ」と述べ、「両国はライバルではなく、パートナーであるべきだ」と主張しました。また、「中華民族の偉大な復興を実現することと、アメリカを再び偉大にすることは、十分に共存し、互いを強化し、世界に利益をもたらすことができる」と述べ、今回の訪問が「実りある成果をもたらす」との確信を示しています。
トランプ氏は、米中関係を「必ず良好にできる」と述べ、習氏を「同盟国」と呼ぶという異例の言及をしたと報じられています。また、SNSへの投稿では、11月と12月にも再び会談することを予定しており、「楽しみにしている!」と期待感をあらわにしています。
しかし、こうした友好ムードの演出の一方で、米メディアでは「成果が乏しい」との論調が強まっており、習氏側が台湾問題などで要求を引き上げたとの指摘もあります。実際に、台湾の外交部は、習氏の発言について「事実をねじ曲げ、一方的にその立場や主張を伝える手法」であると批判しました。台湾の頼清徳(らい・せいとく)総統は現状維持を訴えていますが、外交部は「中国こそが地域の平和と安定を破壊している」と非難し、日本などを含むパートナーと協力して台湾海峡の平和を守ることを強調しています。
今後の米中関係は、トランプ氏が重視する首脳間の個人的な信頼関係と、米国内で強まる実効性への疑問という、相反する状況の中で進んでいくことになりそうです。
出典 BBC 東京新聞 読売新聞オンライン 時事通信 米中首脳会談、民主党が批判 「演出重視で中身なし」 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
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