中部電力は2026年9月25日、静岡県御前崎市にある浜岡原子力発電所3号機および4号機の再稼働に向けた審査申請を、原子力規制委員会に取り下げたことを発表しました。
同社は同日、申請取り下げの旨を記した書類を原子力規制委員会に提出したと伝えています。これにより、中部電力にとって唯一の原発である浜岡原発の再稼働に向けた審査は振り出しに戻ることとなり、再稼働の実現は一段と遠のいたと報じられています。
申請取り下げに至った経緯と「データ不正」
今回の異例ともいえる申請取り下げの背景には、耐震設計に関するデータの不正問題があります。
報道によると、2026年1月に耐震設計のデータ不正が明らかになりました。これを受け、中部電力は外部弁護士による調査委員会に原因究明を委託していました。同社は9月11日にこの調査委員会からの報告書を受領し、その内容を踏まえて9月14日の臨時取締役会において、再稼働申請を取り下げることを決定していました。
林欣吾社長は14日の記者会見において、「生まれ変わって再申請を目指すのが適切だと判断した」と説明しています。手続きの不正を理由に審査申請を取り下げるという対応は、極めて異例であると指摘されています。
浜岡原発の審査状況と今後の課題
浜岡原発の3号機は2015年に、4号機は2014年にそれぞれ再稼働に向けた審査を申請していましたが、2025年12月以降、審査は停止していた状況にありました。
今回の決定により、信頼回復に向けた「出直し」を余儀なくされています。中部電力は、今回の件に関して以下の柱とする経営改革に取り組むとしています。
- 「意識・行動の変革」
- 「組織風土の改革」
- 「ガバナンス・牽制機能の変革・強化」
同社はこれらの改革を通じて、再発防止策を徹底し、失われた信頼の回復に全力を尽くすとコメントしています。
組織的な背景と経営への影響
今回の問題について、社内の自浄機能が働かなかったことや、再稼働に向けた経営上の圧力が背景にあったと報じられています。また、信頼回復に向けた責任として、林社長および勝野会長が辞任することを発表しました。
今後の影響としては、以下のような懸念が挙げられています。
- 減損リスクの発生:再稼働が白紙となることで、中部電力に減損リスクが生じる可能性が指摘されています。
- 電力体制の再編論:浜岡原発の再稼働見通しが立たなくなったことで、「10電力体制」の再編論が再び議論になる可能性が報じられています。
- 規制当局の対応:原子力規制委員会では、今回の不正を受けて審査の却下を一時的に検討していたとされており、処分策についての議論が続いているとみられます。
中部電力は、データ不正という深刻な問題を受け、一度申請を取り下げて組織の根本的な改革を行う道を選びましたが、唯一の原発を抱える同社にとって、そのハードルは極めて高いものになると予想されます。
出典 読売新聞オンライン 日本経済新聞 中日新聞 TBS NEWS DIG 浜岡原発3、4号機の再稼働申請を“正式取り下げ” 中部電力が書類を原子力規制委に提出=静岡・御前崎市(静岡放送(SBS))
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